あの日俺を置いていったアナタへ
今、何をしているのでしょうか
俺はいつも通りこの軍で過ごしています
この軍の正義が正しいかなんて知りません。
俺はアナタがここにいたので居続けています
…だけど、俺のことを気にかけてくれる人たちは皆向こうにいます
まぁどっちかというと黒ってだけで中立らしいので、多分問題はないと思うのですが
アナタまでそちらに行ってしまったら、俺は本当に一人になります
ので、一人にしないでください
これ以上一人にするようならば本気で怒ります
ただでさえアナタに対する感情がぐちゃぐちゃになってややこしいのに、これ以上ややこしくしないでください
さっき俺のことを気にかけてくれる人たちといったじゃないですが
あの人たち、定職に就いてないんですよ
おかげで行き倒れてたりして
ほんとに心臓に悪い
そのたびに俺が助けてるんです
…助けるたびにアナタのことが頭によぎる以外特に問題点はありません
アナタが俺を助けてくれたのは気まぐれだったんですかね
俺を置いていったのも気まぐれだったら来世まで呪いますけど
今気づきました、意外とアナタは俺のことを考えていてくれたんですね
俺がアナタを殺すことを命じられたから、
俺がここでアナタを仕留めないと今まで俺が築いてきたものが全て無駄になるからと
俺に自分のことを殺させようとしたんですね
だからといって何だって感じですけど
アナタが俺を置いていったという事実は変わらないので
ずっと言ってるなって思います?
だってずっと言わなかったら忘れないでしょう?
俺はアナタに関すること、全て忘れられないのでアナタはせめてこれだけ覚えておいてください
アナタのことが大好きだった健気な子供を置いてどこかに行ったということを
そしてその子供に自分を殺させようとしたということを
それがその子供にとってどれだけ辛いことかも知らずに
考えずに
そういえば、俺の髪はアナタが結ってくれたんでしたっけ
今更ながらに気づきましたよ、アナタサラッと自分と同じような髪型にしましたね?
まぁ別にいいですけど
だって、いま着ている制服だってアナタからもらった一着をもとにサイズを合わせて作っていただいたものですし
この帽子もアナタのですし
俺の本性もアナタのようですし
槍の扱い方までアナタに教わったので
今更アナタに似ているところが増えたって、何なら問題はありません
拝啓、俺を助けた天狗さんへ
アナタは今何をしているのでしょうか
俺はいつも通りこの軍で過ごしています
今日もあいつらは行き倒れているし
アナタへの感情がぐちゃぐちゃなのに変わりはないけど
それでも、生きています
アナタが俺のこの命を繋いでいてくれたので
生きれる所まで生き抜いてみますよ
アナタより先に死んでたまるか
のでアナタも死ぬ気で生きてください
敬具、アナタが助けた人間より
P.S
ところでつい最近この近くで白の軍のような制服を着た青髪と囚人とどこかの民族衣装を足したような格好をした赤髪が
修理屋を営んでいると聞いたのですが
しかも青髪の方は錫杖を槍のように扱ってくるとか
その扱い方がワタクシそっくりだとか
…まぁ、深くは気にしませんよ
制服をきちんときたらワタクシのように見えるような槍使いの天狗のことなど
「…ほーろ、何見てんの?」
「んー、手紙、みたいなもん」
「手紙みたいなもんって何…?」
「さぁな」
「急に来たんだから」
「あの子?」
「…そーだよ」
「にしてもなんで急に…」
「母の日?」
「俺は母親になった覚えはないが…」
「じゃあ父親?」
「そういうものではないかなぁ」
「ふーん」
「でもまぁ、」
「幸せそうではあるんじゃない?」
「…そう、だな」
「気を許せる子もできたみたいだし、一安心だよ」












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。