第3話

3.隣の席。
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2026/06/30 16:54 更新









翌日。

李玖「おはようございます〜」

李玖は眠たそうに目をこすりながら教室へ入る。

李玖「……あ」

また空いてる席は、温世の隣だった。

李玖「お、おはよう」

李玖がニコッと笑う。

温世は教科書から目を離さず、

温世「……おはよ」

ぼそっと返してくれた。


(返事してくれた!)


李玖は少し嬉しくなって席に座る。











講義が始まる。

先生が黒板にどんどん書き始める中、李玖は必死にノートを取っていた。

李玖「うぅ……早い」

小さく呟いたその時。


コツ。


机の上に、1枚のルーズリーフが置かれた。

李玖「え?」

見ると、綺麗な字で授業の内容がまとめられている。

李玖は隣を見る。

温世は前を向いたまま、何事もなかったようにノートを書いていた。


(もしかして………)


休憩時間。

李玖「これ……」

李玖はルーズリーフを差し出した。

李玖「ありがとう」

温世はちらっと李玖を見る。

温世「……写せ」

李玖「え?」

温世「先生の話、途中から追いつけてなかったやろ」

李玖は目を丸くした。

李玖「見てたの?」

温世「……たまたま」

李玖「ありがとう!」

李玖が満面の笑みを向けると、温世は少しだけ視線を逸らす。

温世「……声でかいわ」

李玖「ご、ごめん」

李玖は慌てて口を押さえた。

その様子を見ていた後ろの席の友達が、小声で話し始める。

「え、温世が人にノート貸した?」

「初めて見た」

「しかも自分から?」

温世はその声が聞こえると、じろっと振り返った。

温世「うるさいわ」

「はいはい」

友達は笑いながら肩をすくめる。












放課後。

李玖「じゃあまたね〜!」

李玖は友達と別れて校門へ向かう。

その途中、バッグの中を探りながら歩いていると、

「……危ないわ」

グイッ


誰かに腕を引かれた。

李玖「わっ!」

次の瞬間、自転車が目の前を勢いよく通り過ぎる。

「前見て歩け」

聞き覚えのある低い声。

李玖「温世くん……」

温世はすぐに手を離した。

温世「怪我したらめんどいんやけど」

李玖「助けてくれたんだ」

温世「………たまたま」

そう言って背中を向けて歩き出す。

李玖はその後ろ姿を見つめ、ふわっと笑った。

李玖「優しい人なんだね」
その言葉は、小さすぎて温世には届かなかった。

けれど、少しずつ。

2人の距離は、気づかないうちに縮まり始めていた。












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