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第1話

第1話「拾った生物」
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2026/01/27 07:00 更新
ーあなた目線ー
 あ~疲れた。もう今日一日なにもできない。そんなネガティブなことを考えながら家路につく。職場から家まではそう遠くなく、徒歩五分から十分ほど。それは信号で左右されるが、実に近くありがたい位置にあった。
この日はなんとなく公園に寄った。疲れはてて今にもすぐ眠りたいというのに、だ。ベンチに腰掛け先ほど買った水の蓋を開ける。ふと左上を見ると、酔っ払った人のようにふらふら歩いている男三人(一人は女にも見える)を見つけた。危ないなーと思いながら気にかけていると、三人はバタリと倒れてしまった。

『お兄さんたち大丈夫!?』

声をかけて走り寄るも意識がないようだ。出血───は少ししているな。でも地面には付いていないし、ここ一帯に監視カメラはない。
ひとまずあなたは自身の家に三人を連れていくことにした。────が、それぞれ体格もよく男のため、あなたは明日筋肉痛になることを覚悟しながら運んでいた。
最高の治療を施した後、見て見ぬふりをしていた現実に目をやる。"この人たちは人間ではない"それは分かりきった事実だった。なぜなら、三人には角が生えていたり、異様に軽かったり。(軽いといっても他の二人と比べて、の話だ)

『結構マズかったりするかなぁ…』

血は既に止まっている。彼らの回復力なのか、自身の手当ての賜物なのか───それは分からない。が、失血死をする可能性は大幅に減少した。

 ふとあなたは考える。「コイツら未確認生命物体だとしたら、自分も危ないんじゃね?」と。近所の人たちにバレれば、警察は避けて通れない。もちろん、新聞やテレビにもその情報は載るだろう。それは絶対に無理。嫌だ。と最悪の状況を否定しながらも三人に目をやる。
彼らが頼れるのは自分しか居ない。それに、襲ってくるとも限らないし、なにより未確認生命物体っていわれたら、なんかテンション上がるじゃん? とポジティブ極まりない思考で即決した。

 彼らを、自分の家で飼おうと。





彼らの眠っている部屋に六本ほどの缶を持ってきた。エナジードリンク。略してエナドリ。血は止まっているとはいえ、いつまた傷が開くか分からない。つまり今夜は徹夜。仕事終わりで疲れているというのに……と少し悲しくなりながらも早速一缶空ける。

『美味し』

どうせ徹夜するなら仕事を少しでも減らそう。あなたは仕事に取り掛かった───
深夜三時。仕事が一段落ついたので三人を見ると、位置も向きも変わらず寝ていた。怪我のせいと頭では理解していても、やはり心配だ。

『ぐっすり過ぎて逆に怖いよ……』

……あれ、というか角が生えているならコイツら悪魔じゃね?
一つの仮説を立てる。三人は人間ではないことだけは確かだ。だが、となるとなんの生物なのか。ヒト型をしていて角が生えている、背中に一つの線? が入っている、おそらく尻尾もある。この体の機能を見ると、明らかに悪魔であろう。

『えぇ…僕、悪魔拾ってきちゃったの…』

目元に手を当てため息をつく。とはいえ悪魔でも飼うのは面白そうだ。殺されなければ。

『ま、なんとかなるよね』

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