第53話

ラストダウン:予定の正体
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2026/02/08 07:18 更新
(あなた視点)
ああ、認めるしかないな。
自分でもこの気持ちが何のかなんて、簡単に分かる。
きっとこれは"恋"と言うものだ。

わかってる。
でも、彼が自分を気に入ってくれていることは分かっている。そして、少なからず、好意を向けてくれていることも。

ただ、優しくてかっこいい彼のことだ。誰にでも、あの態度なのかもしれない。
ホークス
ホークス
このあと、何か予定あります?
あれはずるい。
でも、
私だってずるい。愛情表現なんてのは、昔から苦手なことだ。
目聡く、耳聡く、聡明な彼なことだ。私の気持ちなんて、簡単にわかっている。
悔しいなぁ。
だから、簡単に捕まってなんてやらない。
クリスマス当日。

任務は、思っていたより静かに進んでいる。
あなた
(……集中、集中)
そう思っているのに。

背中が、妙にそわそわする。
あなた
(……見られている気がする)
ちらっと視線を動かすと、少し離れた場所でホークスが立っていた。

一見、いつも通り。

軽く壁にもたれて、周囲を警戒している――

……はずなのに。
あなた
(絶対、見てる)
視線じゃなくて、剛翼で。
あなた
(あれ、便利すぎるんですよ……)
私は、スマホを取り出す。

画面をつけた瞬間。
あなた
(あ、やば)
反射的に、体を少しだけ背ける。

でも。

その動きすら、たぶん――
あなた
(全部、見られてる)
画面には、今日の予定。
18:30
 駅前モール
 受け取り
あなた
(……うん)
誰かと会う予定じゃない。

デートでもない。

ただ。
あなた
(……渡したいものがあるだけ)
クリスマス。

一緒に仕事。

それだけで、十分なのに。

それでも。
あなた
(……何もないのは、嫌だった)
そのとき。
ホークス
ホークス
……迅鷹さん
少し離れた場所。

ホークスが、低い声で話しているのが聞こえた。
風見 迅鷹(かざみ じんたか)
はい?
ホークス
ホークス
今日は、いつもよりはやく帰っていいですか?
風見 迅鷹(かざみ じんたか)
……はい
風見 迅鷹(かざみ じんたか)
あと、ホークスさん
ホークス
ホークス
なに?
風見 迅鷹(かざみ じんたか)
剛翼で覗くのは、やめましょう
ホークス
ホークス
覗いてない
風見 迅鷹(かざみ じんたか)
見てますよね
ホークス
ホークス
確認してるだけ
あなた
(してるだけ、って何ですか)
思わず、小さくため息が出る。

でも。

口元が、緩んでしまう。
あなた
(……心配、してるんだ)
それが、分かってしまうから。

 

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