小説更新時間: 2026/04/06 13:34
R18
連載中
花 環 を 結 う

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- エンドロールの先で
むき出しの岩肌の上に点々と緑散る山。塔の上で町を眺め、花瓶のなかのミモザが揺れている。陽の光をいっぱいに浴びてはるか海の潮が香る。南向けば揺れる湖照らす星は清く光る。小川のせせらぎに耳を澄ませ遠く北の西の水辺透き通る青に心奪われ酔いしれる。どこまでも美しい碧浮かぶ睡蓮。緑の茂みに一人ぽつんと気高く孤独に咲いたリリャン。風にそよぐ麦畑は青々と揺れ、青空の向こうには山があった。
ここは小宇宙。かつての希望は弾け飛びすべてを無に返していく。誰もが小さな銀河であり惑星であり原子の一つである。ここは花畑、誰もが憧れ甘い香りが漂う中皆でサンドイッチを囲んだ記憶。されどいずれ花は枯れる残るのは腐った雪が積もった暗い山肌。振り積もる雪がてらてらと陽光を反射しあたりは光りに包まれていた。薄氷を割りながら春を待つ。
ここはどこかの町であり街であり街灯の下であり橋の上。ここなら窓から通りを見下ろす君をずっと見つめていられるじゃないか。陽光のなか小鳥に囲まれる美しい君。白い肌と長くふんわりとした髪。瞳は宝石のように一層輝いている。けれど何かが足りないように感じた。そうだ、君のために花冠を作ろうじゃないか。
いくつかの山道を抜け木漏れ日をくぐって着いたあの花畑は春らしく色とりどりの花でいっぱいだった。ここが僕の世界だ。ここが僕だけの小宇宙、ここが僕の家、ここが僕の生きる場所。いつか君をここに連れてこられたらいいのに。そうすれば、あの凍てつくような孤独も、腐って足にまとわりつくような雪にも耐えられるだろうに。ああ、もうすぐ春が終わる。僕は消えてしまうだろうか。いいや、僕は一つの中性子、消えることはない。永遠にこの無限の空間をさまよいふわふわと霧散していくのだ。そう、僕は永遠。終わることのない円環の中で春を待ち再び芽吹く日を待つのだ。この世界は大木の円環の中にあり、誰もが宇宙であり、誰もが太陽であり月であり、原子の集合体であり、電子や中性子、陽子の一つであり、この無限に広がる宇宙の無数の点の一つなのだ。永遠に巡る円環。それは観覧車、それは線路、それは惑星、それは太陽系、それは花環。いくつもの花、そのひとつやふたつはもしかすると花でもないかもしれない。けれども僕らはそれを花環と呼ぶ。さあ、シロツメクサを取って。さあ、ミモザを取って、さあ、スモモを摘んで。さあ、彼女のために花冠を結おうじゃないか。
ここは小宇宙。かつての希望は弾け飛びすべてを無に返していく。誰もが小さな銀河であり惑星であり原子の一つである。ここは花畑、誰もが憧れ甘い香りが漂う中皆でサンドイッチを囲んだ記憶。されどいずれ花は枯れる残るのは腐った雪が積もった暗い山肌。振り積もる雪がてらてらと陽光を反射しあたりは光りに包まれていた。薄氷を割りながら春を待つ。
ここはどこかの町であり街であり街灯の下であり橋の上。ここなら窓から通りを見下ろす君をずっと見つめていられるじゃないか。陽光のなか小鳥に囲まれる美しい君。白い肌と長くふんわりとした髪。瞳は宝石のように一層輝いている。けれど何かが足りないように感じた。そうだ、君のために花冠を作ろうじゃないか。
いくつかの山道を抜け木漏れ日をくぐって着いたあの花畑は春らしく色とりどりの花でいっぱいだった。ここが僕の世界だ。ここが僕だけの小宇宙、ここが僕の家、ここが僕の生きる場所。いつか君をここに連れてこられたらいいのに。そうすれば、あの凍てつくような孤独も、腐って足にまとわりつくような雪にも耐えられるだろうに。ああ、もうすぐ春が終わる。僕は消えてしまうだろうか。いいや、僕は一つの中性子、消えることはない。永遠にこの無限の空間をさまよいふわふわと霧散していくのだ。そう、僕は永遠。終わることのない円環の中で春を待ち再び芽吹く日を待つのだ。この世界は大木の円環の中にあり、誰もが宇宙であり、誰もが太陽であり月であり、原子の集合体であり、電子や中性子、陽子の一つであり、この無限に広がる宇宙の無数の点の一つなのだ。永遠に巡る円環。それは観覧車、それは線路、それは惑星、それは太陽系、それは花環。いくつもの花、そのひとつやふたつはもしかすると花でもないかもしれない。けれども僕らはそれを花環と呼ぶ。さあ、シロツメクサを取って。さあ、ミモザを取って、さあ、スモモを摘んで。さあ、彼女のために花冠を結おうじゃないか。
チャプター
全11話
11,780文字
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