そこには
私の大好きなあの子が
心配そうに私を見ていた
涙が止まらなかった
あの子にこんなところを見られたくなかった
でも
私の名前を呼んでくれた嬉しさと
あの子の優しさで
泣いてしまった
やっぱり私
この子のことが好きなんだ
あの子は私が泣き止むまで待ってくれた
そして改めて
なんて答えればいいのかわからなかった
言おうかどうかすごく迷った
あの子は私が話すまで待ってくれている
今なら言える気がした
ずっと言いたかった言葉
それを言って
はっきり振られよう
そしてこの恋は終わり
それでいい
言ってしまった
おそるおそる顔を上げてみた
あの子が顔を真っ赤にしていた
嬉しすぎてまた泣いてしまった
笑いながら君が言った
私の大好きな君の笑顔
大好きなあの子は
私の恋人
これからも私の隣で
私の大好きなその笑顔をみせてね
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!