[ハァ......、高専にいるのであれば、ってかいなくてもですけど、連絡をしてください]
「任務委託の連絡なら入れたはずだけど」
しかも割と数が手に負えないときは連絡してるはずなんだが。
上層部も月翳家に直接任務を出してるわけじゃないし、上層部からの任務は普通なら蹴れるからな。
僕からの任務指示の方が優先順位高いおかげでみんなちゃんと動いてくれるし。
[そーじゃなくて任務終わりの方の連絡です!! いくら特級とはいえ、みんな心配してるんです!]
「心配する前に強くなれって言っといて」
アオから僕の業務携帯に不要連絡は入ってなかった。
アオは僕の第一側近、右腕だ。そのアオから連絡がなかった。
つまりは誰一人として欠けずに生存しているという何よりの証拠だ。
ならば不安に思うこともないだろう。
不要な連絡は取らない主義だ。
一応、私用携帯の方ではアオに連絡を入れてはいた。
だが、あくまで当主である僕の私用だ。
だから私用での会話は月翳の者にも漏らすことはできない。
そのため、業務用に連絡を入れろとでも言ってるのだろうが。
[ハァ......、貴方様はそういう方ですよ。それで? 要件はなんでしょうか]
「あぁー、僕、明日から雄英に行くことになったから着いてきて」
[……]
僅かな沈黙。
その間に僕は、自分の耳から携帯を遠ざける。
[……はぁ!? いや、確かにあなた様に雄英護衛の依頼が入っていたのは知っていましたが!]
「学長からも直々にご指名頂いちゃってさぁ、受けざる得ないじゃん」
[確かになぜ受けたのかも疑問点でしたが! オレも行くんですか!?]
驚きを隠せず、割と素が出てきているアオにその通りだと頷く。
ちなみに仕事中に素が出るアオはかなり珍しい。
「アオは僕の制御役だなー。いないと困る」
[……ヒーロー育成所となれば、オレの暴走の可能性は考えなかったんですか]
「同時でなければ僕が確実に止められるし、それより僕が暴走した場合の方がヤバいだろ」
[……御自分のお力をご理解いただけてるようで]
アオはおそらく僕の次……もしかすれば僕以上にヒーロー嫌いかもしれない。
それぐらいにヒーローが大っ嫌いなのだ。
ちなみに僕のヒーロー嫌いの8割はアオと同じ理由だ。
「ま、これでも特級だからな」
[ハァ......わかりました。明日までに用意させますよ]
「何回ため息つくんだよ」
この通話を始めてから既に3回。
割といつものこととはいえ、ここまで頻度が高いと落ち込むぞ僕でも。
[何回でも良いでしょう。それより、本日の夜にはそちらに向かいますからね]
「おー、待ってるわ」












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!