目を開けると、いつも通りの顔をしたさとちゃんがいた。
手が震える
夢であって欲しかった
全部全部悪い夢で…
また優しそうなさとちゃんのお母さんが居て
家では叩いたりするけどとっても優しいお父さんがいて
意地悪だけどかっこよくてかわいいさとちゃんが居て。
そんな優しいお父さんとお母さんは
目の前の男の子に殺された
あんなふうに死んじゃうんだ
もう戻ってこないんだ
俺が今まで見てた優しい世界は
全部偽りのものだったんだ
俺も殺してくれないかな
だって
優しいんだよ
みんな優しかったんだよ
俺が今いる世界がおかしいんだ
なんで
なんで
自然と体が動いた
シャツを肩まで下ろす
一瞬さとちゃんが動揺したけど、気にせず続ける
一人称が僕だった
もう、心が壊れてしまったんだ
飲め
いらないんだ
こんな血なんて
そうでしょ
さとちゃんあまいのすきだよね?
ねぇ、そうだよね、
僕、いらないんだ
グイッ
ドサッ
ジェルの両手を掴んで近くにあったベッドに押し倒す。
目にハイライトはなく、
正気を保っていなかった
ごめん
ごめんな
俺の目を見つめる視線は真っ直ぐで
何も言わないからなんだか言葉に詰まる
トッ
謝ろうとする俺の口に人差し指が置かれる
ハイライトの戻った優しい目のジェルがそこにいた
俺の口に人差し指を置いたまま、いつものあの声で話してくれる
目を逸らしてちょっと頬を赤くしながらそんなことを言う
今度はまっすぐ俺の目を見て
はっきり、優しく
涙を浮かべながら言った
静かに俺が頷いたのを確認して
なんて言ってから抱きしめられる
あったかい
ジェル体温高いもんな、、
好き、、?
ジェルが笑う。
好きって言ったよな?
俺のことが好きって、、
ぜっっったいあいつ笑ってんな
…あ、やべ
まさか、覚えてないのか?
グイッ













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。