それから数ヶ月が経った。
翔ちゃんの体調は良くなるどころか悪化していて、最近は部屋から出てこない。
部屋の前を通れば翔ちゃんの咳が微かに聞こえ、それがただの風邪ではないことを訴えている。
でも、翔ちゃん本人からはただの風邪の一点張り。
だけど、僕らは信じていない。絶対に、何かの病気だって確信している。
だけど、会えない以上診察もできない。会いたくても拒まれる。
本当にほっといても大丈夫なのかと心配している僕らに、ある時それは訪れた。
コンコン…
………
いつもは「置いといてくれ」と一言言ってくれる。が、今日は返事がない。
それどころか咳すらも聞こえず、心配が不安に変わった。
自分の声が震えていることが分かる。
お盆を持っている手が震え、カタカタと音を鳴らしている。
きっと、今の自分は明らかに動揺しているんだ。
少し申し訳なさを感じたがこれも生存確認のためと心に告げ、部屋の扉を開ける。
鍵がかかっていない。少しだけ開いた扉の向こうからは強い日差しが差し込んでいる。
悩んでいても仕方がないと思い、扉を勢いよく開け、中に入った。
部屋は想像以上に散らかっていた。本が大量にあった。きっと読みあさっていたのだろう。
いや、そんなのは正直どうでもいい。
翔ちゃんが床に倒れている。
顔は青白く、まともに食べていないのか痩せこけている。
それに、呼吸が浅い。脈も弱い。
翔ちゃんの頭を自分の膝に乗せ、呼吸を確認する。やっぱり、浅い。脈も弱すぎる。
それを再確認した瞬間、今までの不安が全て表に出てしまった。
僕が泣き喚いたその時、翔ちゃんは目を覚ました。
まだ慣れていない明るさに、目をパチパチさせている。
この時の翔ちゃんは、どこか遠い目をしていた。
“何かを諦めたような目”だった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。