第78話

79.
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2026/02/08 03:00 更新



それから数ヶ月が経った。

翔ちゃんの体調は良くなるどころか悪化していて、最近は部屋から出てこない。

部屋の前を通れば翔ちゃんの咳が微かに聞こえ、それがただの風邪ではないことを訴えている。

でも、翔ちゃん本人からはただの風邪の一点張り。


だけど、僕らは信じていない。絶対に、何かの病気だって確信している。

だけど、会えない以上診察もできない。会いたくても拒まれる。

本当にほっといても大丈夫なのかと心配している僕らに、ある時それは訪れた。






































コンコン…


灰原 奈路
灰原 奈路
…翔ちゃん……ご飯持ってきたよ




………



灰原 奈路
灰原 奈路
…え?


いつもは「置いといてくれ」と一言言ってくれる。が、今日は返事がない。

それどころか咳すらも聞こえず、心配が不安に変わった。


灰原 奈路
灰原 奈路
……しょ…翔…ちゃ……


自分の声が震えていることが分かる。

お盆を持っている手が震え、カタカタと音を鳴らしている。

きっと、今の自分は明らかに動揺しているんだ。

灰原 奈路
灰原 奈路
っ…入るよ……!


少し申し訳なさを感じたがこれも生存確認のためと心に告げ、部屋の扉を開ける。

灰原 奈路
灰原 奈路
はぇ…


鍵がかかっていない。少しだけ開いた扉の向こうからは強い日差しが差し込んでいる。

悩んでいても仕方がないと思い、扉を勢いよく開け、中に入った。

























灰原 奈路
灰原 奈路
なっ…


部屋は想像以上に散らかっていた。本が大量にあった。きっと読みあさっていたのだろう。

いや、そんなのは正直どうでもいい。


灰原 奈路
灰原 奈路
翔ちゃん…!!


翔ちゃんが床に倒れている。

顔は青白く、まともに食べていないのか痩せこけている。

それに、呼吸が浅い。脈も弱い。


灰原 奈路
灰原 奈路
あ…翔ちゃん……?


翔ちゃんの頭を自分の膝に乗せ、呼吸を確認する。やっぱり、浅い。脈も弱すぎる。

それを再確認した瞬間、今までの不安が全て表に出てしまった。

灰原 奈路
灰原 奈路
や…やだ…やめて……ポロッ
灰原 奈路
灰原 奈路
死…なんて……ダメだよ…!!ポロポロ
灰原 奈路
灰原 奈路
翔ちゃん!!
青崎 翔
青崎 翔
ん…
灰原 奈路
灰原 奈路
……へ…


僕が泣き喚いたその時、翔ちゃんは目を覚ました。

まだ慣れていない明るさに、目をパチパチさせている。

灰原 奈路
灰原 奈路
翔ちゃっ……
青崎 翔
青崎 翔
ん…あぁ……なろ…っち?
灰原 奈路
灰原 奈路
な…なんで…こんなの…ただの風邪なわけ…
青崎 翔
青崎 翔
………



この時の翔ちゃんは、どこか遠い目をしていた。


“何かを諦めたような目”だった。



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