試合に勝利したチームZの面々は、疲れているのかなと思っていた。
「おらぁ!!」
「ひょーい!!」
「………元気だね」
布団に乗っかって飛び跳ねている五十嵐や、1人コソッとつまみ食いしている成早がいた。
中央にはみんなのおかずと、ゴールボーナスのステーキが並んでいた。
「うま!」
「あーコラ。またつまみ食いしたろ成早」
「お前らも遊んでないで!祝勝会の準備ちゃんとしろ!」
「そーだぞー」
「……豹馬も食べてるけどね?」
サボっているのは主に今村・五十嵐・成早・豹馬か……、、
「あ、あなたじゃん。お前も食う?」
「え、あ、うん」
豹馬がフォークに刺したステーキを差し出してくる。
1切れもらうと「んっ」と思わず声が出た。
「美味しっ……」
「だろ?」
二カっと笑う豹馬を見て、素直になったなぁ…と感激する。
「(全部、世一のおかげだなぁ……)」
「おーい。飲み物誰か食堂から取ってきてー」
「あ、私行こうか?」
「すまんなマネージャー……」
「いいよいいよ!これくらい!國神も疲れてるだろうし、休んどきな」
立ち上がろうとした國神をもう1度座らせる。
「俺も行くわ。流石にあなただけじゃ持てないだろうし」
持っていた布団を蜂楽に預けてから、世一が歩いてくる。
「ありがとう」
「ん」
______
「これぐらいかな……多めに持ってった方がいいよな?」
「そうだね。てか、凄い量………」
テーブルに置かれているスポドリの量に圧倒される。
というか量以前に、ステーキにスポドリって合うのか……?と思ってしまった私がいた。
「世一、あの試合で何か掴んだでしょ?」
「え、あ……うん。あなたはお見通しか」
少し驚いた表情をした世一だったけど、すぐ元の表情に戻って説明し始めた。
「多分、俺……自分の武器とか才能に、初めてちゃんと気付けた気がするんだよ。"空間認識能力"で戦況を先読みできても、ゴール前でトラップすると、敵に対応する時間を与えてしまって、先読みで得た一瞬の行動の有利がゼロになるって気付いたんだ」
「確かに。トラップすると、その時間が無駄になるってことか」
「うん。それで、自分のゴールを思い出した時、わかったんだ。俺は"ダイレクトシュート"で、今までゴールを決めてきたんだってこと……」
世一の今までのシュートを思い出すと、確かに全部ダイレクトだった。
オニごっこの時も、チームY戦のゴールも……、、、
「感覚でやってたコトを、自分で理解して方程式にできた!だからこれからが、ストライカーとしての潔世一が本当に始まる気がする!」
拳を握りしめて言う世一に、私は頷くことしかできなかった。
……本当、見ないうちに成長したなぁ…、、
なんだか日に日に遠くなっていく世一の背中に、悲しさが芽生える。
無意識に伸ばしていた手に気付いて、勢いよく引っ込める。
「…あ、いやゴメン。今のはちょっとイキりすぎたかも…」
世一は手に気付いていなかったらしく、ホッと一息つく。
「なんで?いいじゃん。世一のあのゴール、本当にカッコよかったし」
トレーにスポドリを乗せて持つ。
「え………」
トレーを持ったまま固まっている世一に首を傾げる。
世一の顔の前で「おーい」と手を振っていると、数秒して「あ、わ……」世一が後ずさった。
「どうしたの…?」
「……んでもねぇ」
「えぇ…?」
なんで固まってたのか気になるところだが、これ以上深掘りして欲しくなさそうな顔をしていたので、追求するのはやめておこう。
「………本当、無防備すぎんだよな…ぁ……」
小声で何か呟いた世一の声は聞こえなかった。
「チームZ、勝ち上がりおめでとうございます」
「……二子!?」











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。