「雷夏くん!恵吾くん!…自分にも頼ってくださいよッ!」
大声を出しても、2人は振り返ってくれなかった。分かっていた。自分は何にもできない人間なんだから、正当な扱いなのは分かっている。それでも、今まで期待してきた分放された気持ちは大きい。自然と目には涙が溜まって頬を伝っている。必死になってしている息も、吐くとたちまち白色に変化する。かじかんだ手は先が赤色に染まり痛いとも感じる。
「…やっぱり、自分じゃダメですよね、笑」
精一杯出した小さな声も、黙って歩く2人には聞こえなくなっている。自分は、2人の何かに触れてしまった。闇に一度触れてしまったら元には戻れない。御伽話の中だけだと思っていた言葉。あの頃の自分には理解できなかった。それでも今の自分にだけは理解しないといけない。そんなことはわかっている。それでも、心の底にある黒いモヤは自分では取り除けない。だからって、2人に頼れないことなんて誰が見てもわかっている。きっと、今から走れば2人に追いつける。その迷い淵で踏みとどまっている。
「……ぇ…?」
自分の手は消えかけていた。困惑して隣にあった電柱に触れてみる。
「あぁ、…全部、わかりました」
2人が自分を無視するのも、心のモヤが取れないのも。全部自分が存在しないからだ。原因はわからない。それでも、最後に2人に伝えたかったことだけを口に出す。
「自分と、今までいてくれてありがとうございました。そして、すみません」
その言葉を言い、そっと目を瞑って笑う。これが自分の最後の幸せです。
ーーー
「ッ…ひぃ、クリスマスに倒れた高校生、?」
皇千トは思わず口を押さえて、星喰右手に近づく。
「けど、こいつ案外幸せそうだぜ?」
星喰左手が覗き込んだ苦瀬結人の顔は、ちっとも苦しそうではない。顔色が悪く、冷たくなっていても口角は上がっている。医者によると昨日の9時には亡くなっていたらしい。今の時間は13時半。それまで、誰も通報しなかった。それがこの街の汚い所であり、特徴でもある。
「…お仲間には、伝えないのですか?千ト。」
「きっと、あそこに居ると思う。あの2人はこのこと、知ってるのかな?」
皇千トにかかれば、顔を合わせてしまえば全て分かる。それが、相手にとって良い事とは限らない。それでも会いに行くのかは、優柔不断な皇だけでは決めることはできない。
「め、右手くん…、どうしようかな?」
彼はまた、お馴染みのセリフを口にする













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。