第16話

 1-5 出発
38
2025/01/27 08:48 更新
アリエス
アリエス
おはようございます。


出発当日の朝。


全員が会議室に集まっていた。


皆、己の武器はウエストポーチに入れず手に持っていたため、パッと見るとかなり物騒な光景になっていた。



隊長
隊長
本日も御影隊全員がいることを確認した。
これにて点呼を終了する。
隊長
隊長
連絡事項…は言わなくてもわかると思うが、本日が出発時だ。
念のため聞くが準備の終わってない者は。


隊長が尋ねるも、手は上がらない。


隊長は満足げな顔をした。


隊長
隊長
よろしい。ではアルファさん、ワープの準備を。
アルファ
アルファ
は〜い!任せてください!


そう言うとアルファさんはスマートフォンを取り出して「準備OKです!そちら、圧縮度はどうですか…」とかなんとか話し出す。きっと確認作業だろう。


……にしても、あの隊長がまさかアルファ「さん」と呼ぶとは驚いた。


他の組織に属している人だから多少丁寧になるのだろうか。


そんなに優しく接することができるなら元からそうしてほしいが…と言う事は控えておいた。



アルファ
アルファ
よし、オッケーです!
それじゃあ皆さん、外に出ましょう!


アルファはビシッと指を差して言った。
決めポーズらしかった。



グードゥー
グードゥー
これがワープか。
アルファ
アルファ
そうです!これに全員で乗ってもらい、ポチーっとボタンを押せば…ジャジャーン!目的地の近くへとすぐに辿り着きます!!


地面ポータルというのだろうか。それとも魔法陣というのが適切なのだろうか。


近未来感バツグン機械が置いてあった。





隊長
隊長
では全員、乗るように。


隊長が告げる。


確か彼女はこの場に残るのだったか。私は思い出す。


アクワーリォ
アクワーリォ
お〜、なんか…こう、凄い!!
レオン
レオン
説明力が終わってんな。
アルファ
アルファ
いち、にい、さん…よし、12人いますね!
それでは!アルファ第一号、しゅっぱ〜〜つ!!


アルファは手に持つリモコンのボタンを押す。


すると私たちの乗っている台が光り始め、やがて視界が白くなる。


眩しさに思わず目を閉じた。








クレブス
クレブス
蠍…?


クレブスの声が聞こえて目を開ける。


蠍
おぉっ!?


蠍は驚いた。


目の前にあったはず御影隊の建物がなくなり、いつのまにか高架下にいたからだ。


レ・ジェモー
レ・ジェモー
ここが東部一区…
アクワーリォ
アクワーリォ
なぁんか違う世界みた~い!


アクワーリォはキャッキャとはしゃぎながら言った。


確かに、さっきまでいた東部二区は建物の数が少なく、廃れている印象があった。


が、こちらの東部一区は相変わらず暗い雰囲気があり廃ビルのようなものが少なからずあるが先より建物の密集度が増している。


違う区とはいえ隣り合わせであるにもかかわらずこんなにも差が生まれるのか、と私は驚いた。


アルジャッディ
アルジャッディ
…区によって、統治する者も変わる。
この世界、いろんな人がいるから区に個性が出る。隣同士の区、でも。
アクワーリォ
アクワーリォ
おぉ~~!!
レ・ジェモー
レ・ジェモー
アルジャッディさん、詳しいですね…
アルジャッディ
アルジャッディ
常識。


アルジャッディはこちらに視線をくれることもなく言った。


アルファ
アルファ
は~い!全員生きてますか~?
途中で四肢がもげたり臓器が飛び出したという方は申し出てくださいね!
蠍
んな物騒でグロテスクな…
ヂェーヴァ
ヂェーヴァ
ワープは事故が多いからね、仕方ないのよ。
ワープ中にジタバタ暴れでもしたら空間の空間の間に挟まれて…ジャン!行き先に辿り着けなくなったり、致命傷を負って到着するかも!もしくは…死体運搬の可能性も?
蠍
ワープってそんな怖いものだったの!?というか、そういうのは先言って!!?
ヂェーヴァ
ヂェーヴァ
私たちにとっては日常だから…忘れちゃったわ!ごめんね
蠍
いやまぁ、事故が起きる前だったから別にいいんだけど…


なんて怖い技術だ、と蠍はワープの到着地点を見た。

リブラ
リブラ
さて、ここからはどうしようか…と言っても歩くほかないね。
アリエス
アリエス
はい。
ここから約徒歩15分。そこに例のビルがあるかと。
リブラ
リブラ
なるほど。道案内は君に任せていいかな?
アリエス
アリエス
はい、私が担い__


言葉が途切れた。


皆がアリエスを見た。


アリエスは一瞬驚いたような表情をしたが、すぐに気を引き締めた。


視線の先には、一人、人がいた。




アリエス
アリエス
ハマル…



ハマル。


そう呼ばれた人物は手を振りながらこちらに向かってきた。


ハマル
ハマル
やっほー、アリエス。久しぶりね。


オレンジの瞳と髪に赤のインナーカラー。そして緑のスカーフが印象的な高身長の女だった。



アリエス
アリエス
どうも。
お久しぶりです。


アリエスは至って普通に、そして事務的に返した。


ハマル
ハマル
そっちにいるのは?アリエスのお友達?
アリエス
アリエス
友達…えぇ、そうとも言えるでしょう。
更に適切に言うのであれば同僚、でしょうか。
ハマル
ハマル
ふーん。ま、興味ないけど。


ハマルはシッシ、と手を振った。


暴れだしそうなレオンをこちらは必死で抑え込んだ。


ハマル
ハマル
あれ、なんでこうもタイミング良く出会えたのか不思議に思わないの?
アリエス
アリエス
…原理は知ってます。
私の血から生まれた眷属がまだカルペディエムにて生きているのでしょう。
主との繋がりはどれだけ離れていようと永遠。
私がこちらに近づくということが眷属経由で分かっていたのでしょう。不思議ではありません。


アリエスは答えた。


どうやらそれは合っているようで、ハマルは満足げに頷いた。


ハマル
ハマル
流石、カルペディエムの“天才”。凄いねぇ。
アリエス
アリエス
……要件はそれだけですか?
ハマル
ハマル
おっと、気が早いね。別にこれだけじゃないよ。



ハマルはアリエスとの距離を詰め、真横に立った。


そして顔だけアリエスの方に向けた。


ハマルのほうが背が高いので、アリエスは必然的に見下ろされた。


ハマル
ハマル
何でここに来たかは知ってる。一等星を得る為でしょ。
アリエス
アリエス
仮にそうだとしましょう。だったら何ですか?
ハマル
ハマル
勿論、私たちにとっても一等星を得られるのは痛手。できれば、というか絶対に防ぎたい。
ハマル
ハマル
でもそれを阻止するには邪魔な存在が一人いる。明確だね、そう。元カルペディエムのアリエスだよ。
だから_____


ハマルは目に追えぬ速さで自分の腰から何かを取り出した。



何かは考えなくても分かった。



凶器だ。



ハマル
ハマル
死ね。



意図はストレートだった。



ハマルはアリエスを刺した。



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