私はずっと知らなかった。
生まれた頃から不足していたこの感情。
もう取り戻すことは出来ないし、貰えない。そう思っていた。
それとは何か。
ずっと知らなくて貰えなかったもの…そう、
愛
生まれてみると既にもうお父さんは居なくて、お母さんは愛をくれない。
そんな状況で愛を知っている方がおかしいのではないか。
この子だったら愛をくれるかな。なんて期待を込めてこの名前にしたのに、
それなのに、愛緒は私の前から消えていった。
居なくなるのは一瞬のことで…私の心には大きな穴が空いた。
私はロボットを作った。そのロボットの名前は愛緒。
心の穴を埋めようと思って作ったロボット。
でも、やっぱりダメだった。ロボットには心がない。
私が欲しかった愛はくれなかった。
未来で死んだ。なんて話、よく分からなかった。
でもきっと現れてくれたのはあの時のあなただよね。
昔から仲が良かった。ゆきむら。くん。
ずっと好きだった。でも、伝えられなかった。
あなたが愛してくれるなんて思ってなかったから。
現在
私が死んだのは過去の話。
未来から来た私の命の恩人はまた、私を救ってくれたようです。
そして私は本当の愛を知る。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!