🏨☔🐼さん中心の予定でしたが少し変更しました。
(恐らく後半から中心に)
長編予定なのでこれかも作者にお付き合い頂けると嬉しいです。
静かなベルの音がして、エレベーターのドアが開く。またあの微かな花の匂いが鼻を抜けていった。
GRANDFLOOR…恐らくロビーのことだろう。随分とシャレた名前だなと錆納戸色のカーペットを踏みしめ、自分の感じるままに足を進める。身体の痺れは無くなっていた。
しばらくすると、床に並んだ傘が見えた。しかも開いたまま。
全部で6つ。このホテルの色と同じような傘が置いてあった。おもむろに傘を握ってみると『この場で待て。』とまた電気信号のようなもので命令された気がした。
推測でも始めようかとした時足音が遠くから聞こえた。黒幕かもしれないと身構えると、
驚いた。来客は私だけでは無かったのだ。
一人は赤を基調とした服で、革製の帽子。もう一人は青を基調としていて、ベレー帽を被っていた。
言動からして、ホテル関係者とかでは無く、私と同じ巻き込まれた人だろう。「お互い何も知らない」ということは、最初の私みたいな状況だろうか。
複数人巻き込むとはこのホテル。相当性根が歪んでいる。そう思ったところで遠方からまた足音が聞こえた。
鞄を手に持ち、白衣に身を包んだ人がゆっくりとやってきた。まだ居るのかと呆れてしまった。
このぶるーくとかいう人、立て続けに質問をしてくる。前に自分が解決した事件の内容を聞こうと記者が押しかけて来たのを思い出す。
もしかして…と思うとスマイルが腕を組んで喋りだした。
そう言ってスマイルは天井を仰いだ。そして隣に広げて置いてあった傘を見てため息をつく。
スマイルは傘に近づき手に取った。それに続いて、ぶるーく、きんときも傘を手に取る。
確かに、スマイルの言う通り。ホテルの人が見当たらない。いや…見当たらないというより、人気が全く無い。まるで、このホテルには私達しかいないような。
掲示板とメールの依頼主の内容を思い出す。そうだ。ベルマンは?ベルマンを探さなくては。
このホテルの手掛りはそれくらいしかない。
そう、スマイルが言った所で、廊下にふと目をやると歩いてくる人影があった。黒の服に黄金色に輝く十字架が目立っていた。
ぶるーくは急に苦笑いをしだした。多分私と思っていることは同じだろう。
この神父は他の人と違って、自分の職業がはっきりとしている。私のように、閉じ込められていた場所で何かあったのだろう。
全然励ましになってなさそうなんだけど。と心の中で突っ込む。
と、紫陽花の裏から声がした。
私は違和感を覚えた。たしかこのホテルにはベルマンしかいないはずでは?少し背の低い男性はきょとんとしたまま続けた。
スマイルが尋ねる。丁度いい。私も聞こうと思っていたところだ。もし本当にホテルの従業員ならなにか知ってるかもしれない。しかしそんな期待とは裏腹に。
失礼じゃないか?この人『配慮』って知ってる?
………………でも実は私もちょっと思った。
それを本当に早く教えて欲しい。自分が探偵とわかった以上早く謎を解かなければ。
変な従業員…かどうかも怪しいが。そのシャークんは傘を拾った。
『この場で待て』となると何か罠があるように見えなくもない。しかし、もしそうでも好都合だ。黒幕の尻尾をつかんでやろう。とその時。
湿っぽいホテル内に似合わない、筋の通った声が響く。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。