彼女の視界には光のない景色が映っていた。
無秩序の中で国境を越えてしまったのかもしれない。
「はぁ...」
息がしづらく、ここに長くいられない。
家を探しにあなたは歩き始めた。
木は枯れていて川の側には死んだ魚が落ちていた。
カラスの黒い羽が地面に落ちていた。
なんとなくふわっと苦い香りがした。
光の国のではバニラの香りがしたのに。
正体がバレないようにあなたは必死にフードを被った。
ふとあの草原が広がる楽園を思い出す。
まるで真逆の世界のようだ。
気がつけばもう夜になっていた。
建物はどこにも見当たらずあなたは地面に座った。
「...もう帰れないかも」
その時あなたは影のように沈んだような宿舎を見つけた。
疲れ果てて、あなたは急いで建物へ向かった。
そこには簡素なベッドだけが並ぶ、兵舎のような部屋が並んでいた。
「...あった」
あなたは何も考えず、思うまま一つの部屋に入った。
「ふぁ...」
床で横になり、ため息をつく。
気がつけば時間が過ぎてた。
その時、物音がした。
誰かが入ってくる音。
あなたは即座に姿勢を直し目を泳がせた。
汗っぽい匂いがドアの外から入ってくる。
誰かの喋り声。
強い足音が無音の兵舎に響いた。
ドアが開くと、
??「...誰。」
そこには虎の目をした男の人が立っていた。
次回更新水曜日21:00











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。