初芽が咲く頃、俺たちは新学期を迎えた。
高2になっても生活なんて前と変わらない。
つまんない勉強や運動をやって、周りが無駄に目を輝かせる。
そんな見物用の俺は今日も欲まみれの人だかりの中
淡々と息を吸う。
そう思っていた。
先生の話に耳を傾けるのをやめ、快晴の空を見上げた。
ゆっくり雲が流れていくのをぼーっとみていると、
グワッとクラスが盛り上がり、視線を移す
ざわめくクラスの中、俺の瞳に入ったのは
オレの人生を狂わせた人物だった。
こいつは黒鐘海牙(くろがね かいが)。
小中高同じの腐れ縁。
親が関西人らしく、関西弁をよく話している。
そんな話を聞き流していると、ホームルームは終わった。
新しいクラスだからなのか、やたらざわめくクラスの中からひっそりとした視線が周りから飛んでくる。
これでバレてないと思ってんのか?
場所変えるかー。
俺は無意識にあの日の女のことを思い出し、
なぜか軽い足取りで、倉庫に向かった。
なんでだろうか。いつもは体が重くけだるいのに今日はなぜか調子がいい。
それどころか、…なんだ?…やけに胸があったけーぇし、 キューッとすんなぁ……
廊下の窓には青い大空にチュンチュンと鳴いているスズメが飛んでいる。
...天気がいいからか、
いつの間にか俺は都合のいいようにこの変化を受け入れていた。
ガラガラと開けると体育館と同等の独特な匂いが漂う。
そしてボロボロに破けたソファにドサッと座った。
10分だけ寝るか…
そして俺は暗い闇の中へと堕ちていった。
...なんだ?
この透き通るように優しい匂いは...
突然コスモスのような花の匂いに誘われ、俺は目を開いた。
窓からのこぼれ日に輝いて、こいつはニッと笑顔を見せた。
あれ.....女の顔ってこんな、見て気分がいーもんだったか...?
俺はこいつのほっぺたを片手で掴んだ。
やっと見つけた俺の隠れ家。
そこに偶然人が入る時もあったが、なんとか守りきった場所。
そんな空間をこんな奴に潰されてたまるか。
だから俺は、最大限の脅迫をした
…のにも関わらずこいつはきょとん顔で俺をじっと見つめる。
俺が手を離すと、
笑いかけながらそう答えた。
だいたいの奴はこんだけ言えば怯えて逃げて行くのに…
こいつは何なんだ…?あんなにヘラヘラしやがって。
扉の前まで行くと
そうガッツポーズをして消えていった。
予想せぬことの繰り返しで自然と頬が緩む
てか、あいつ、......どっかで......
授業のあいつはヘラヘラ顔ではなく、真面目な顔つきだった。
でも、問題が分からないのか鼻でペンを挟んで間抜け面になってたのは笑った。
休み時間のあいつは、二三人の女と楽しそうにおしゃべりをしていた。
あいつもう友達できたのかよ...
そして分かったことがある。
あいつは皆平等に接してる。
男も女も同じく笑顔を見せて対応している様子に
なぜか俺はイライラした。
あいつは俺に嫌な視線を送らないし
他の奴らと違って都合のいいはずなのに.....
クソッ!.......なんでこんな気分わりーんだよ!!
俺は気づいたらあいつの事ばかり見るようになっていた。
あいつの行動ひとつひとつが俺の視界を奪った。
そしてあいつには見ているだけでなんともたまらない気持ちにさせる。
この感覚は今までにない感覚で、この状態であることは別に
嫌ではなかった。
なんならもっと............欲しいくらいだ。
最初はあいつが引きクジは次々に消えていった。
半分減ったぐらいに俺もクジを引く。
.....7か。
『雷翠くんって何番!?』
『雷翠くんと同じがいーなぁ』
『誰が雷翠と同じ班!?』
コソコソ話してるつもりかもしれねーけど、
全部丸聞こえだっつの。
はぁー、ガチで面倒。
すると俺の耳がある声を拾った。
俺はその一言に心を踊らせた。
ついに雷翠が彼女に近づき、思いを膨らませる。
彼の結末とはー
次回 作用












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。