第5話

ending
130
2021/01/18 08:17
すぐそこに雪の絨毯が迫っていた。



これでやっと終わる


 時間が戻っていくように逆さまに降る雪を見つめて

 口の中に残った甘いカフェラテの余韻も

 もう、あの瞬間を思い出さない



 あの匂いも

 あの笑顔も

 あの声も

 あのキスも

 もう思い出さない

 もう思い出せない



 ぼくたちはさよならの運命だったけど

 ぼくたちは出逢わなかった方がよかったかもしれないけど


でも、ぼくは君を愛していた



 心地よい痛みに包まれ
 降りしきる雪がぼくを包んで
 ゆっくりと目を閉じる

 

 
 君のいないこの世界では
 もう会うことができないから

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