夜遅く、俺はなぜか目が覚めてしまった。
横を見ると、一緒に寝ていたはずのヒョンがいない。
トイレかなと思って、行ってみたけど鍵はかかっていなかったし電気もついていなかった。
一応見ておこうと玄関に行くと、ヒョンの靴が無かった。
心配になった俺は、ヒョンに電話をかけた。
📱Prrr...
電話越しに聞こえるヒョンの声は、どう考えても体調が悪そうな声だ。
その言葉を最後に、ヒョンの声は聞こえなくなった。
電話が切れる直前、水が勢いよく流れるような音がした。
俺は薄めのジャージを羽織って、急いであの川に向かった。
昨日ヒョンと話した、あの川に。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!