「……あなたさん、少しだけ時間いいかな。」
マネージャーからそう声をかけられたのは、
練習後、まだ汗が乾かないままのスタジオだった。
緊張した面持ちで案内された部屋には、
パンPDと、マネージャーが静かに待っていた。
(……怒られるかもしれない。)
でも、それでも、逃げたくなかった。
あなたは、ゆっくりと椅子に座る。
パンPDは、優しくも真剣な声で口を開いた。
「君の頑張りは、ちゃんと見てるよ。
でも……BTSというグループにとって、“外部の人間との関係性”は、慎重にならなきゃいけない。」
それは、まっとうな忠告だった。
あなたは、静かにうなずいた。
「……はい。」
「君のためでもある。
……わかってると思うけど、メディアやファンは、時に容赦ない。」
「……はい。」
俯きかけた瞬間、
あなたは、自分の胸に手を当てた。
(私、自分にも……ジミンにも……嘘、つきたくない。)
怖いことも、不安もある。
でも、それ以上に、大切にしたい気持ちがある。
あなたは、ぎゅっと指先を握り締めた。
そして——顔を上げる。
「……私は、パク・ジミンさんが好きです。」
パンPDとマネージャーが、少し目を見開く。
それでもあなたは、まっすぐに続けた。
「そして、ジミンを守りたい。
どんな形でも、彼を傷つけたくないんです。」
それは、震えながらも確かな声だった。
パンPDはしばらく何も言わず、
そして、ふっと微笑んだ。
「……そうか。」
それ以上、何も言わなかった。
ただ、静かに、温かい空気がそこにあった。
マネージャーも、ほっとしたように息をついた。
「……本当に、大事に思ってるんだね。」
「はい。」
あなたは、静かに頭を下げた。
覚悟を、胸に、しっかりと抱きしめながら。
もう、逃げない。
ジミンの想いにも、
自分自身の気持ちにも。
それが、今の自分にできるすべてだった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!