(…今日も疲れた。)
昔から頭が良くて、
運動も出来て、
つまるところの『優等生』でした。
でも、そんな存在は、どうしても皆から遠ざけられます。大袈裟に言えば、畏怖の対象になります。
それは君がすごいからだよ、って言ってくれる大人も居ました。
だから、気にする必要は無いよ、って。
違う、違うんです。
私は、皆と違うのが嫌なんです。
だから、私は、笑って。
皆と仲良くできる、「どこか話しかけにくい優等生」じゃなくて、「親しみのある優等生」になりました。
褒めて欲しくて、お母さんにも、お父さんにも、『笑顔の仮面』を使いました。
けれど、それは偽りです。
私は、本当の自分が溶け込める世界が良かったのに!
その道を、自ら封じた。封じてしまった。
したくもない作り笑い。皆と話していくうちに、外すことが出来なくなってしまった仮面。
俺には、父親が2人居る。1人はもう、居ないが。
死んだ父親は、警察だった。
正義感に溢れている人だった。
昔の俺は、父さんに憧れてた。
強くて、
格好よくて、
皆を守れる、父さんが大好きだった。
けど、父さんは死んだ。
勤務外で。
俺は父さんの死に打ちひしがれて、そして、父さんを非難した。
交通事故だった。飲酒運転。父さんには何も非は無かった。
父さんは、何も悪くなかった。
あの時の俺は、"警察"というものを美化しすぎていた。
ヒーローの様に思っていた。
それでも、小さな頃の記憶は脳に焼き付いたまま離れない。
俺は、親が大嫌いだ。
俺の目の前で死んだ父さんも、父さんの死なんてなんとも思わない様に直ぐに再婚した母さんも、新しい父も。
それでも俺は、幼い頃の偶像に縋り付いてしまう。
父さんが、小さい頃にくれた、帽子。
僕は呟く。
お母さんとお父さんは僕を見ない。
どうして?僕、大丈夫だよ。
お母さん達が望むなら、また、男子の制服を着るよ。
髪も切るよ。
そんな訴えも虚しく、成長期が来た僕はあっさり見て貰えなくなった。
最初の頃は、僕は必死に話しかけた。
それでも、お母さんもお父さんも、何も反応しない。見えないふり。いや、もしくは、本当に見えてない?
「もうあんたなんて、どうでもいい。」
最後にお母さんに言われた、あの言葉。
その言葉を放った時のお母さんの、心底怒った、顔を歪めた表情、声色。
それがいつまでも離れない。
もう高校生になってからは、一言も話さなかった。会話の無い、静かな家。
なんで?僕は何もしてないじゃない。
貴方達が勝手に押付けた偶像。
それが限界を迎えた途端、僕を捨てるの?
僕はもう、貴方達の事なんて、どうでもいいよ。
貴方達にはもう、愛想を尽かしてしまった。
私はこんな家、大っ嫌い。
父様は製薬会社のお偉いさんで、とても頭のいい人。
それは認める。
だけど、頭がいいだけでなんとでもなるわけが無い。
私は父様なんか嫌い。
自分の完璧主義を、私にまで押し付けてこないで。
母様は、のんびりしてる人。
基本何にも干渉しないし、何も口出ししない。
母様も嫌い。私の事なんてどうでもいいんでしょう?
家には、使用人も居る。けど、正直どうでもいい。
クラスメイトに言われる。
「豪華なお家に住めていいな」?
「私も棹ちゃんみたいな生活がしたいな〜」?
なら、変わってよ!!
上っ面だけ見て、楽しそうなんて、良さそうなんて、言わないで!!!!
貴方達のことなんか、友達と思ってない!!!!
私の友達は、今までもこれからも、ずっとひとり。

















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。