第4話

「世界で一番甘いもの」第4話:今、君のお店の前にいるよ
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2026/06/14 15:24 更新
あの日から、3ヶ月が経った。
ジミンさんは韓国に帰国し、世界ツアーでヨーロッパやアメリカを飛び回っている。
住む世界も場所も違うはずなのに、私たちのカカオトーク(メッセージ)は、あの日から1日も途切れることはなかった。
ジミン
ジミン
【黒華、今日のアメリカの公演も無事に終わったよ!早く黒華のチョコ食べて癒やされたいなぁ……。黒華はもう寝ちゃった?】
(なまえ)
あなた
【お疲れ様です!ジミンさん、時差もあるんだから早く休んでくださいね。チョコならいつでも作って待ってますから】
ジミン
ジミン
【やった!じゃあ、お休みのキス代わりのスタンプ(ハートを持ったキャラクターのスタンプ)】
画面越しでも、ジミンさんのあざとさは健在。
スマホを見るたびに顔がニヤけてしまうのを、私は必死に抑えていた。
そんなある日、いつも通りお店の閉店作業をしていると、スマホが激しく震えた。
画面を見ると、ジミンさんからの着信。
(なまえ)
あなた
もしもし!? ジミンさん? どうしたんですか、こんな時間に
ジミン
ジミン
ふふ、黒華の声、やっと聞けた。今ね、日本に着いたばかりなんだ
(なまえ)
あなた
えっ!? 日本に!?……あ、そっか、今週末から日本公演が始まるんでしたね
テレビのニュースで言っていたのを思い出す。
でも、到着してすぐにわざわざ電話をくれるなんて思わなくて、胸がキュンと跳ねる。
ジミン
ジミン
『うん。それでね? マネージャー兄さんたちを説得して、ホテルに行く前にちょっとだけ自由時間をもらったんだ』
(なまえ)
あなた
自由時間……ですか?
ジミン
ジミン
『そう。だからね、黒華……。今、お店の後ろの勝手口のところ、開けられる?』
(なまえ)
あなた
えっ……まさか……っ!?
私は持っていたタオルを放り出し、慌ててお店の奥の勝手口へと走った。
鍵をガチャリと開けて、勢いよくドアを開ける。
そこには――街灯の光に照らされて、あの日と同じ黒いバケットハットを被ったジミンさんが、スマホを耳に当てたまま立っていた。
ジミン
ジミン
……本当に、会いに来ちゃった
ジミンさんはスマホをポケットにしまうと、マスクを外して、世界で一番甘い笑顔を私に向けた。
3ヶ月ぶりに生で見る彼は、画面越しよりもずっと格好良くて、大人の色気が増していて、私は言葉を失ってしまう。
(なまえ)
あなた
ジミン、さん……。本当に、本当にジミンさんなんですか……?
ジミン
ジミン
うん、本物だよ。……黒華、そんなに遠くにいたら、ハグできないじゃん
ジミンさんは自ら一歩踏み出すと、私の細い腰に腕を回し、そのまま自分の胸の中へと強く抱き寄せた。
ふわりと香る、記憶よりもずっと濃い彼の香水の匂い。
背中に回された彼の大きな手のひらが、少しだけ震えている気がした。
ジミン
ジミン
はぁ……。やっと会えた。画面越しじゃ全然足りなくて、僕、頭がおかしくなりそうだったんだよ?
(なまえ)
あなた
っ……! ジミン、さん……苦しい、です……
心臓の音が、どっちのものか分からないくらいに大きく響き渡る。
ジミンさんは私を腕の中から少しだけ離すと、私の両肩を掴んで、じっと私の目を見つめた。
その瞳は、あざといアイドルのものではなく、完全に一人の男としての熱を帯びていて。
ジミン
ジミン
ねえ、黒華。僕、日本にいる間、毎日ここに来てもいい?……それとも、僕のホテルの部屋に、黒華が来てくれる?

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