第2話

1話 瞳
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2022/10/23 10:04
カランッと軽快な音と共に俺はそこへ足を踏み入れる。


ここは路地奥の一店のBAR。



             .........表向きはそうだ。
このBARのマスターは腕利きの情報屋。何か価値のある物を渡せば有力な情報もなんでも教えてくれるというのだ。裏社会の人間でも上の方の一部の人間しか知らない。



もとい裏社会の情報源アングラのキーパーソン
何故それを俺が知っているかって??

それは秘密だよ





俺はその情報屋に今日、交渉を求める。
情報屋は結構な現金な奴らしい。綺麗なものが好きだとかなんとか。




自分でも杜撰な考えだと思うよ、なんせ手札がこれしかないからね。

偶然を計算し尽くすことはできないからね、どんだけ綿密でも無駄だよ。


だから賭けに出よう。


あの人が俺を欲しがるのかどうか
???
いらっしゃいませお客様、何にいたしましょうか
てると、といったか。...小さい...中学生か、って思うほど






俺はカウンターの椅子に腰かけてマスターに話しかけた
そうま
......てるとさん...ですよね...
彼は少し黙り込んだ後
てると
その名前を知ってるってことは...
                ......僕に何か用?
そうま
...はい
てると
とりあえず何か飲む?それから話聞いてあげる
そう言って少し微笑んだ



優しそうな人だ。人間の汚らわしい部分を知らなそうな感じ
そうま
あ、俺未成年なので...水、とか...あれ...ば......
なんかめちゃくちゃ驚いた顔をしてこちらを見てたから俺もびっくりした。



え、なになに怖い怖い
てると
未成年?未成年?その見た目で?え、未成年?
すげえ怖い顔で迫られる。え、怖いよ、俺泣いちゃうよ
そうま
16歳です......
てると
じゅうろく.........10個下か...
今確実に「10個下か」って言ったよね?え?つまりあれってこと?26歳ってこと?え、見た目若くない?中学生って言われても納得できるよこれは
彼は少し不服そうに水を差し出した後、カウンターに頬杖をついて妖艶に微笑んでこう言った
てると
それで?君は何が聞きたいの?僕は知ってること全部話すよ。もちろん報酬次第だけどね。
語尾に音符がついてそうな話し方。



こうゆうところは少し大人びている気がする。大人の色気?的な感じ...
俺は水の入ったコップを置き、そっと口を開く
そうま
...この辺で昔あった、”奴隷オークション”って知ってますか
一瞬目の前の時が止まったようだった。てるとさんは表情を変えなかったがどこか驚いているように感じた。水に入った氷のカランッという音ではっとした彼。
てると
久しぶりにその単語聞いたな...
少し無気力そうに眼を逸らし酒を作る彼、自分用だろうか

それは動揺からの行動にも見えて。



瞳の奥が微かに揺れた気がした。
てると
...で、何をくれるの?報酬。
作られたカクテルは奥のソファ前のテーブルに置かれる。
そうま
それが...

俺、金も宝も高価なものなんて何も持ってないんですよ。
てると
...ほう??
少し楽しそうに聞いてくる
そうま
だから...
そうま
俺の人生、貰ってくれませんか
目を細めて笑っていた彼の顔が驚きの表情に変わる
てると
...は...?

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