カランッと軽快な音と共に俺はそこへ足を踏み入れる。
ここは路地奥の一店のBAR。
.........表向きはそうだ。
このBARのマスターは腕利きの情報屋。何か価値のある物を渡せば有力な情報もなんでも教えてくれるというのだ。裏社会の人間でも上の方の一部の人間しか知らない。
もとい裏社会の情報源
何故それを俺が知っているかって??
それは秘密だよ
俺はその情報屋に今日、交渉を求める。
情報屋は結構な現金な奴らしい。綺麗なものが好きだとかなんとか。
自分でも杜撰な考えだと思うよ、なんせ手札がこれしかないからね。
偶然を計算し尽くすことはできないからね、どんだけ綿密でも無駄だよ。
だから賭けに出よう。
あの人が俺を欲しがるのかどうか
てると、といったか。...小さい...中学生か、って思うほど
俺はカウンターの椅子に腰かけてマスターに話しかけた
彼は少し黙り込んだ後
そう言って少し微笑んだ
優しそうな人だ。人間の汚らわしい部分を知らなそうな感じ
なんかめちゃくちゃ驚いた顔をしてこちらを見てたから俺もびっくりした。
え、なになに怖い怖い
すげえ怖い顔で迫られる。え、怖いよ、俺泣いちゃうよ
今確実に「10個下か」って言ったよね?え?つまりあれってこと?26歳ってこと?え、見た目若くない?中学生って言われても納得できるよこれは
彼は少し不服そうに水を差し出した後、カウンターに頬杖をついて妖艶に微笑んでこう言った
語尾に音符がついてそうな話し方。
こうゆうところは少し大人びている気がする。大人の色気?的な感じ...
俺は水の入ったコップを置き、そっと口を開く
一瞬目の前の時が止まったようだった。てるとさんは表情を変えなかったがどこか驚いているように感じた。水に入った氷のカランッという音ではっとした彼。
少し無気力そうに眼を逸らし酒を作る彼、自分用だろうか
それは動揺からの行動にも見えて。
瞳の奥が微かに揺れた気がした。
作られたカクテルは奥のソファ前のテーブルに置かれる。
少し楽しそうに聞いてくる
目を細めて笑っていた彼の顔が驚きの表情に変わる
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。