第4話

episode3
569
2024/05/08 07:24
side.田中樹
夢野日向
あ、そうだ
俺らの準備が終わって“さぁ行こう!!”って時に何か思い出したかのように歩みを止めた日向さん。
何!?また!?みたいな顔をしてジッと日向さんの顔を見る俺ら5人。
夢野日向
そんな顔すんなよw
夢野日向
いや、単純に言い忘れたことあるわって思って
京本大我
京本大我
はぁ…
高地優吾
高地優吾
で、何ですか?
みんな“やっぱりまたか……”みたいな顔してるし…
夢野日向
お前らが今から行くところには先住民がいてな
先住民って…w
歴史の授業以外じゃ聞いたことない言葉だよそれ。
夢野日向
因みに年齢は樹と同い年らしいぞ
田中樹
田中樹
えっマジ!?
同い年の子いるの!?

めっちゃ嬉しいんだけど!!
ここにいる4人は全員俺より年上か年下かだから…

唯一の同い年が出来るなんてめっちゃ嬉しい!
夢野日向
ただし
SixTONES
え?(-hk)
夢野日向
何か訳ありっぽいからあんまりガツガツ行くなよ
訳あり?

何かあったのか?その子に。
田中樹
田中樹
ん、了解
森本慎太郎
森本慎太郎
その子、何かあったの?
夢野日向
さぁ…俺も分かんねーけど…
夢野日向
だけど佑也…その子の専属教師がガツガツしないで欲しいって言ってきてな
ふーん、そんなこと言われたんだ…
さっき言ってた佑也さんって人が俺らで言う日向さんのことだよね。
そんな人がわざわざ伝えてくるなんて…

本当に訳ありなんだな…
夢野日向
ま、樹と優吾がいるから大丈夫だと思うけどな
森本慎太郎
森本慎太郎
えー!!俺らは!?
ジェシー
ジェシー
そーっすよ!!俺はどうなんすか!
京本大我
京本大我
いや、お前らはうるさいでしょ
高地優吾
高地優吾
お前ら全員うるせーよ
田中樹
田中樹
絶対その子のこと怖がらせるだろ…
まぁ俺らってTHE うるさい集団って感じだしな。
多分その子俺らみたいな雰囲気の奴に慣れてないだろうし…
おそらく…てか絶対怖がらせるだろ。
第一印象ヤンキーの俺らを何故その子と会わせようとしたんだ…

意味不明だ…
夢野日向
…ほら、迎え来たぞ
その声にパッと前を見ると高級そうな車が止まっているのが見えた。
もう日向さんとはお別れなんだな…
そう思うと寂しくなる。
なんだかんだ言って日向さんはいつも助けてくれた。
だからこそ、俺らも日向さんの負担にならないように行動してた。
でも日向さんは
「迷惑をかけることがお前らの使命なんだから変な気づかいすんな」
って…
そこからかな。
俺らが日向さんのことを本気で信用するようになったのは。
大人を信用出来なかった俺らに“愛情”を教えてくれた日向さん。
俺らの初めての大人の家族。
そんな人とお別れしなくちゃいけない。
その事実が、少し苦しかった。
田中樹
田中樹
…日向さん、今まで本当にありがとうございました
高地優吾
高地優吾
俺らに日向さんがしてくださったことは絶対に忘れません
京本大我
京本大我
何も知らなかった俺らに愛情を教えてくれたこと、凄く嬉しかったです
ジェシー
ジェシー
もう少し大人になって、日向さんともしっかりと話せるようになったら…
森本慎太郎
森本慎太郎
また、会いに来てもいいですか?
……これが、俺らの精一杯。
俺らが日向さんに返せる俺らからの愛情。
夢野日向
…ふはっ
驚きに目を見開いていた日向さんが優しく笑う。
夢野日向
もちろん、いつでも遊びに来いよ
そう言って嬉しそうに笑った彼の笑みを、俺は一生忘れられないだろう。
俺に愛情を教えてくれた初めての優しい大人。

それが日向さんで、本当によかった。

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