第13話

本当の気持ち
72
2024/07/08 11:38
第十二話‐本当の気持ち
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ら、相談相手はもう彼しかいないと思って私は松野君への悩みをこっそりと打ち明けてみる。

「松野君ってさ、他の女の子にはあそこまで冷たくないよね。何で私だけなの?」
「…んなもんちょっと考えれば分かんだろ」

どうでもよさそうに素っ気なく返す彼に私は勢いよく振り返った。

「え!?場地君知ってるの!?もしかして私、過去に松野君に嫌なことしてた!?」

場地君の腕をゆさゆさと揺らしながらこれまでの自分の行動を思い返してみるけれど、今日まで彼に対して嫌なことをした覚えは一切無い。だから余計に頭がこんがらがる。

すると場地君が舌打ちをして私の髪をくしゃくしゃと撫で回した。

「面倒くせぇ。あとで本人に確認しろよ。千冬もここ寄るって言ってたから」
「え゛っ、」

ダメだ。今会ったらまたきっと喧嘩をしてどうせ場地君に怒られる。そんな未来が見える。
不確かな未来予知をした私は、慌てて立ち上がるとスカートをはらって場地君に向き直った。

「わ、わたし急用思い出した!先戻るね」
「おい逃げんな」

私の抵抗も虚しく場地君はガシッと私の手を掴むとその場に引き留めた。こんな事してる間にも松野君は来てしまう。そんな焦りからブンブンと彼の手を振るけれど場地君は全く手を離してくれない。
普段だったらこんなシチュエーション卒倒ものなのに今はそんな余裕カケラもない。
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