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第1話

始まりは血の匂い
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2025/12/07 06:45 更新
放課後の帰り道は、明るいはずなのにどこか薄暗く見える。
校門を出ると同時にスカートの裾を握りしめ、小さく息を吐いた。

今日もなんとかやり過ごした...
教室のざわめきも、視線も、笑い声も、全部苦手。
誰とも深く関わらないように、存在を薄くして過ごす毎日。
自分でも“暗い”とわかっている。それでいい──そう思っていた。
けれどその日、私の薄い日常は唐突に破られた。
あなた
...血?
住宅街の裏路地。
学校帰りの私が、普段絶対に通らない近道を選んでしまったのは、ただ疲れていたから。
風に乗って漂ってくる鉄臭い匂いに足が止まる。
路地の奥に、黒い影。
人影のようで、人じゃない何か。
逃げなきゃ、と思うのに身体が動かない。
声を出そうとしても喉が固まる。
あなた
なんで...何が...
その瞬間
??
下がれ!
鋭い声と同時に、私の腕を後ろから掴む大きな手。
引き寄せられ、身体が弾かれるように後退した。
着地した視界の先。
黒いスーツの男が、銃を構えて私の前に立っていた。
泣き出しそうになるほど整った顔立ち。
無機質で冷静な瞳。
どこか影を抱えたような雰囲気。
──早川アキ。
私はその名前を知らない。
ただ、彼の纏う空気が普通じゃないことだけは直感で理解した。
早川アキ
一般人がここに居たら死ぬ
早川アキ
動くな
淡々とした声で告げると、アキは奥の“ソレ”へ向き直る。
指を鳴らし、空気が裂けるような音が響く。
あなた
...狐
一瞬で路地が灰色に染まり、悪魔の悲鳴が掻き消える。

私はただ震えて、息をすることしかできなかった。
早川アキ
大丈夫か?
戦闘が終わっても、アキの目は警戒を解かない。
けれど血のついた手で私に触れようとはしない。
その不器用な優しさが胸に刺さる。
あなた
……だ、いじょうぶ……です……
掠れた声で返すと、アキはわずかに眉を寄せた。
早川アキ
震えてる
早川アキ
無理に強がるな
そう言って、アキは私の肩にそっと手を置く。
意外にも温かい。
その温度にほっとした途端、涙が滲む。
早川アキ
家は?
あなた
...近い、です
早川アキ
送る
早川アキ
悪魔が出た後だ
早川アキ
一人で歩かせられない
きっぱりと言い切るアキ。
断れない雰囲気なのに、嫌じゃない。
むしろ、胸の奥が少しだけ軽くなる。
歩きながら、私はふと口を開いた。
あなた
...どうして助けてくれたんですか?
早川アキ
仕事だからだ
すぐに返ってきた冷たい言葉。
だけどその後、ふっと声が低くなる。
早川アキ
……それに、君みたいな子が死ぬのは……嫌だ
足が止まった。
アキは気づいていないのか、わずかに前を歩いていく。
胸の奥が、ざわざわと騒ぎだす。
恐怖の残滓とは違う、もっと柔らかい何かが。
...この人、怖いのに、優しい
初めて会ったばかりなのに、妙に気になる。









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