第55話

過去 2
763
2021/06/10 23:32
あなた
私の両親って、離婚してるの。私が中3の時に

ずっと誰にも話せなかったこと。

あなた
元々2人とも仕事人間でね、小さい頃からいつも1人ぼっちで
あなた
それでも月に1回はみんなで出かけて、ご飯食べに行ったりしてたから、
仕事好きなだけだと思ってたの。
あなた
でもね、違ったんだ。もう離婚する何年も前から冷めきってたの。

いざ言葉にすると、息が詰まりそうで、苦しい。



震える手を照史くんが握ってくれた。
照史
大丈夫やから

その声に勇気をもらって、言葉を繋げる
あなた
中3の秋だったの。高校の進路を相談したいって言ったの、
あなた
その時に私達離婚するから、あなたはどうするって言われて

今でも、覚えてるあの光景、冷たい空気を

あなた
2人とも言わなかった。一緒においでって、一緒に暮らそうって
あなた
そりゃぁ、そうだよね。お互いに新しいパートナーがいて、新しい生活を始めようとしてるんだもん。
あなた
その時に気づいちゃったの。
あなた
私はいらない子なんだって

ずっと心の奥に潜んでた思い

あなた
それでね、今の部屋買ってもらって、大学出るまでの学費と生活費もらって
あなた
大学には結局行かなかったけど
あなた
ずっと1人で暮らしてきたの。

ずっと1人だったんだ。
あなた
だからさ、人を信じるのが怖くて、友達とも好きな人とも上手くいかなくて
あなた
でも、それでもいいやって思ってた。
あなた
昔から妄想だけは得意で、それを仕事に出来て、それでいいって思ってた
あなた
それだけあれば生きていけるって
あなた
でもね…

涙が溢れそうになる。


でも泣いたら話せなくなるから、


必死に我慢してた。

あなた
WESTのみんなに会って
あなた
初めてだったの。誰かが家に来たり、一緒にご飯食べたり
あなた
こうやって照史くんと出かけたり

照史くんが強く手を握ってくれる。

あなた
楽しかったの、すごく。だから、この仕事が終わって1人に戻るのが怖くて
あなた
クランクインの日、光の中で輝いてるみんなを見たら
あなた
やっぱり別の世界の人達なんだって、思えちゃって
あなた
そうしたら、苦しくて堪らなくて

隣を見たら、照史くんが大粒の涙を流していて

あなた
も~っ、何で照史くんが泣くの?
照史
俺、涙もろいんやって

って、ぐちゃぐちゃの泣き顔で言うから



きっと私は泣き笑いみたいな変な顔してたと思う。


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