「んふふふ…RAINの記念すべき初ライブ…シュウくんばりかっこよかったわ…。」
今日も私はヲタクをしております。私の推しは『RAIN』というネットで活動しているアイドルグループの「シュンくん」。それはもう、世界一かっこよくてかわいい。見るだけでご飯が100杯食べれそうなくらい_…。
「夕蘭ー!あんたの推しのことは分かるけど、授業中!!」
私の友達であり幼なじみの鈴乃 美波だ。美波は勉強もそこそこ出来て性格もしっかりしている。正に頼れるお姉ちゃん的存在。はい、神。
「ごめん!ありがと美波~!今声出てた!?」
こそこそと喋っているとそれに気づいた先生が、
「そこ、喋る余裕あんならこの問題解いてみろー。」
だって…。私は今日はついていない日だと思った。朝はコンタクト逆に着けて痛い思いするし、9時から発売だったグッズは学校があるから買えないし…今も当てられるし。本当についてない!
結局、何とか問題を解いて難を逃れた。
「んぁ~、疲れた!」
休み時間になり私は豪快に背伸びをした。
べちっ。……ん?
「いってぇーなぁ~…。まじねみぃー……。」
「…あー…ごめん海斗~。」
このぶっきらぼうで活発そうな奴は私のもう1人の幼なじみの五十嵐 海斗。はっきり言って頭は私と同等だよね。(笑)けど、なんだかんだでたまにはかっこいいとこもあるかな。
「海斗次移動教室だからおくれないようにねー?」
横から顔を出した美波がそう言った。本当にたよりになるな〜…。
「んー、わーったわーった……。」
絶対分かってない。まあ、いくら海斗でも授業に遅れたことは無いから大丈夫か。
「美波!私飲み物買ってから行きたいから早めに行こ!」
「夕蘭が買うなら私も買おっかな~。」
そう言って私たちは教室を後にした。
「……でさ~__…っあ!!資料集忘れた!」
もうすぐ理科室に着くっていうのに…。
「夕蘭どんまい。まだ間に合うから行ってきたら?」
「うん…。」
私は急いで教室に走った。
タッタッタ………。ガラッ。
「ふぅー……ん…?」
私の教室の席は1番窓側だ。隣は美波で後ろは海斗。美波の席の1番後ろの列の席に誰かいる。
私はそーっと近づいてみる。
「わぁ…きれい…。」
ハニーブロンドの髪が長いまつ毛にかかり、少し邪魔そうにしている。シュッとしていて高い鼻に薄ピンクの唇。そして白い肌。
めっちゃ美しい。このクラスになって4日程しか経ってないからか、私は彼の存在に気づかなかった。
私とこの男の子には窓から零れた光が当たっていた_。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!