第177話

休暇最終日(🐰side)
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2025/12/15 13:04 更新




1週間の休暇。




きっと再契約について考える期間、なんだろう。




グループとはいえ、これは自分の将来を考えて自分自身で答えを出さなきゃいけないことだった。







俺の答えは決まっていた。







9人でやりたいことがまだたくさんある。


見たい景色、見せたい景色がある。







俺は再契約をする。









その気持ちが固まっているからこそ、他のメンバーはどうなのかは考えないようにしていた。









俺はこの連休中、実家に帰省して地元の友人と遊んだり、家族で出かけたりしてただただ普通の生活をしていた。



アイドルをしていると、決して健康的とはいえない過密スケジュールや華やかなステージ、ツアーともなれば世界各国を巡る…そんな非日常が日常になる。






だからこそ、何よりも自分を大事にすることが俺の信念でもあった。
自分を大事にできなければ、大事な人達を大事にすることもできない、そう思っていたからだ。



ふと、頭によぎるのは決まってあなたのこと。





うちのリーダー、チャニヒョンと張るくらいに自分よりも自分以外の人のことを考える節があるあなた。
ちゃんと「自分自身」を軸に考えられるか心配していた。














(なまえ)
あなた
お休みの最終日、みんな韓国にいる?
一緒にご飯食べたいな。





休暇の後半。
休暇に入ってずっと沈黙していたカトクのグループチャットにあなたからのメッセージが届いた。





フィリックス
フィリックス
えっ、行こう!!
チャニヒョンも帰ってきてるよね?
バンチャン
バンチャン
うん、帰ってるよ。
みんな行くならご飯屋さん予約しとこうか?
アイエン
アイエン
僕も行くー!




続々と返信が連なる。




みんな二つ返事で参加すると返信していた。

もちろん、俺も。









そして休暇最終日。

チャニヒョンが手配してくれたお店に向かうとすでにチャニヒョン、スンミニ、イエニ、そしてあなたが到着していた。





(なまえ)
あなた
リノオッパ!
久しぶり〜ㅎㅎ
リノ
リノ
あぁ、久しぶり。
つっても1週間だけどㅎㅎ
(なまえ)
あなた
全く連絡も取らない1週間は初めてだったじゃん。
だから実際の日数より会ってない感覚だったのかも?




確かに、今までは休暇があってもカトクはしてたし言われてみればそうかもしれない。




続々とメンバーが店に到着し、全員が揃ったところでみんなチャニヒョンの方に視線を向けた。


このタイミングでのご飯会だ。

きっと何かあるのだろうとみんな思っているに違いない。
だからチャニヒョンが何を言い出すかに意識が集中していた。





バンチャン
バンチャン
ん?え?何、僕??
リノ
リノ
え?




身構えていただけに、チャニヒョンのすっとぼけた声に面食らってしまった。




バンチャン
バンチャン
いや、だってこの集まり呼びかけたのは僕じゃなくてあなただよ?ㅎㅎ
ヒョンジン
ヒョンジン
あぁ、そっか…確かにㅎㅎ
つい全員集まるとチャニヒョン見ちゃうやㅋㅋㅋㅋ
スンミン
スンミン
それならあなたヌナから何かあるの?




スンミニがあなたにそう問いかけると、みんなが一斉にあなたの方へ視線を移した。





(なまえ)
あなた
ただ、はやくみんなに会いたかった。
あとはこの機会にみんなに伝えておきたいことがあったんだ。




そう言うと、あなたは人数分の小さな紙とペンを取り出す。





(なまえ)
あなた
その前に、みんなこの紙に書いてほしい。
休暇で出してきたそれぞれの答えを…






再契約するか、しないか…だよな。


なぜそんなことをさせるのか、きっとあなたの考えがあるのだろうと思い、それぞれが特に異論を唱えることもなく用紙に答えを書いていく。





あなたは見えないように折りたたまれた紙を手元に集めると、俺たちの方に向き直る。







(なまえ)
あなた
先にみんなの答えを集めたのはね、わたしが伝えたいことを聞いてみんながそれぞれ出してきた答えに影響を出したくなかったからなの。
みんなの答えを変えたり誘導するために伝えたいわけじゃないから…




俺も、そして他のメンバー達もきっとそれぞれに他のメンバーに影響されないよう、影響を与えないように連絡も取らずこの日を迎えた。
あなたももちろん、そこに配慮しているようだ。






(なまえ)
あなた
今までは「straykidsのために」って考えてきたけど、再契約に関しては一人一人が答えを出さなきゃいけないし、だから「自分自身のために」って考えてみたの。





あなたも成長しているんだ。


俺が心配しなくても、ちゃんと自分自身を軸に考えられるようになっていたんだ。



そう微笑ましく思っていたのに、次の一言で一気に胸がざわついた。









(なまえ)
あなた
わたし、これからは自分のやりたいことをちゃんとやっていきたいなって思ったんだ。






……それはどういう意味なんだろう。




自分のやりたいことをちゃんとやる。




そのために事務所を変えるとか、ソロで活動したいとか、もしそんな意味だったら……




あなたのことだから、もちろんどんな決断も心から応援したい。

そう思っていたのに、いざ目の前に答えを突きつけられると足元がぐらぐらと崩れていくような感覚がした。









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