第14話

14話
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2025/10/26 02:10 更新
あなた
……あーあ、また増えちゃった。
心の中でノートを開く。
“第37章:寝落ち寸前、袖つかみ事件”。
ページの端っこに、ちょっとだけハートマークを描き足した。

匠海の肩に寄りかかりながら、
小さく息を吐く。
部屋の空気は静かで、カーテンの隙間から、街の明かりがぼんやり差し込んでいる。
あなた
ねぇ匠海、こういうとき、何考えてんの?
少し間をおいて、匠海は口を開く。
匠海
匠海
……何も。
ただ、“あー幸せやな”って思ってるだけ。
その言葉が、
心の奥にすとん、と落ちた。
あなた
……そういうの、反則。
匠海
匠海
なんで。ほんまのこと言っただけやん。
笑いながら言う声が、
すぐ隣で響くたびに、胸がきゅっとなる。

……たぶん、私はこの人の“何もない時間”が好きなんだ。
何かを頑張ってる匠海も、
笑ってる匠海も全部好きだけど、
こうして甘えた声で喋る匠海は、特別。


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