前の話
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突然だが、俺ロボロには相棒がいる。
それが彼、ゾムだ。
そんな彼、ゾムに俺は恋をしてしまった。
叶わぬ恋だとは知っている。
ゾムは優しいからあからさまにはしないだろうが、
キモがられるのは確実だろう。
だが、
そんな彼のことを諦められない自分がいる。
そんな中、俺はある病気にかかってしまった。
俺の口からは、花が吐かれていた
数日後
今日、ゾムに話があると部屋に呼び出された。
今、ゾムは確かにエミさんが好きだと言った。
ゾムの顔はいつものおちゃらけたものじゃない
本気なんや、そう理解するのに時間はかからなかった
キモいやろ、そう言い悲しそうな顔をするゾム
そんなことない、そう言いたかったのに言葉がつっかえて
うまく話せない
いやだ、そう叫びたいのに俺からでてきた言葉は
自分の思いと正反対の言葉だった
俺はもう長くは生きられないだろうから
あの日、花を吐く病気を調べた。
片思いを拗らせると発症するらしい
治療法は…
無理に決まってる、そう思った。
ゾムが俺を好きになるわけがない、そう思ったから
でも、治らなかったら…
希望は捨ててはいけない、そう思っていた
俺の恋が実るわけがなかったのだ。
吐いてしまった、彼の前で
どうせ死ぬんだから
バタッと音がして身体に衝撃が走る
さようなら、ゾム
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!