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第1話

杉 元 ル ー ト 第 1 話  少 女 と の 邂 逅
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2024/01/30 02:01 更新
ぐわんぐわんと揺らぐ視界。

終電間際の電車の中に乗っているのは私と、恐らく同類…つまり社畜であろう男性1名、それとこれからお家に帰ってイチャコラするであろう男女2名の計4名。

すぐに閉じてしまいそうな瞼を懸命に擦りながら、退勤したにも関わらず仕事の事で頭を回す。
あなた
(クレーム対応明日に回すんじゃなかったな…)
あなた
(あの会社に菓子折り持ってかなきゃ…でも時間無い…あの仕事も全然終わってない…)
心地よい電車の揺れに身を任せ眠りにつこうとした瞬間、耳をつんざくブレーキ音が私の眠りを強制的に終了させた。

ふらふらとした足取りで電車を降り、改札を通り、当たり前に人通りが少ない夜道を歩く。
あなた
慣れたもんよ…
この社畜生活も早10年。

いつか辞めようと思っていたブラック会社に勤めている内にアラサーになっていた。

最早救いようがない。


そんな自虐に半笑いを浮かべながら帰路をひたすらに進む。

あと少しで自宅に着く。ちょっとした解放感を憶えた瞬間、激しい目眩に思わず足元がふらついた。

近くの電柱に寄りかかった瞬間、急激に襲ってきた睡魔に抗えず…




私は意識を失った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
???
……、、
???
……い、
???
…おい、
あなた
ん゙……?
???
おいっ!大丈夫か?!
あなた
えっ…
誰かに頬を撫でられながら呼びかけられている内に、ようやく意識がハッキリとしてきた。
しばらくはぼんやりとしていた視界だったが、時間が経つにつれ少しづつ鮮明になっていく。
どうやら今私は仰向けになっているらしく、目の前には不思議な模様の入った服を着て青みがかった瞳を心配の色に染めている少女が居た。

…少女と言っても彼女はとても大人びていて、なんだか意志の強さを体現した様な子だった。
そんな事を考えていた次の瞬間。
あなた
さ、寒ッ!!
猛烈な寒さに身体が震え始めた。
あなた
(や、ヤバい!これヤバいやつ!!)
あなた
(死ぬっ、死んじゃう!!寒すぎ!!)
なんだこの寒さは。

ガチガチと歯が鳴るほどに寒い。


そういえば…辺りが白すぎる。

私の住む東京とは縁のないこの白くて冷たくて、ふわふわした、

これは…
あなた
雪ぃ?!
いやいやいや、そんなはずない!!

今何月だと思ってんの。


8月だよ?!


8月?!8月に雪?!
あなた
マジ意味不なんですけどー……
年甲斐も無く若者言葉をぽつりと呟く。



今時こんなにも手の込んだドッキリを仕掛ける暇人もいるもんなんだな、と余り働かない頭で考える。
???
おい、大丈夫か?
目の前の景色や自分の事に気を取られている内に目の前に居る少女の存在を完全に無視していた。

心配する様な声色で私にそう問いかけた少女は、綺麗な黒髪ロングで青みがかった瞳、不思議な模様の入った服に暖かそうな毛皮をマフラーの様に巻いた風貌だった。
あなた
……あったかそう
寒さで頭がやられたのか、小学生でも出せる薄っぺらいセリフを口にしていた。
???
???
寒いのか?
あなた
あ、うん。だって完全に私今薄着だし
あなた
というかここってどこ?
寒くない?今8月だよね?
あなた
…しかも君、誰?
矢継ぎ早に質問を投げかけたにも関わらず、少女は冷静に私の質問に応える素振りを見せてくれる。
???
寒いなら私のコタンに来ればいい。
立てるか?
あなた
あ、うん。ありがとう
そして今8月だよね、という私の質問に眉根を寄せて首を傾げると…
???
何を言っているんだ、今は2月だぞ。
脳みそまで凍傷になったのか?
あなた
にっ、2月?!
あなた
(随分手の込んだドッキリだな…)
あなた
(こんな小さな女の子にも当たり前の様に嘘を吐かせるなんて…!!)
恐るべし、今の日本。

最早アラサーの私の考えなんて古代の物なのかもしれない。


震える腕を自ら抱きしめながらそんな事を考えていると、不意に少女が振り返った。
???
そういえば、まだ名乗っていなかったな。
あなた
え?
あなた
あ、あぁ確かに。
aslp
私は…アシㇼパ。お前の名前は?
あしりぱ?

随分とキラキラネーム…


あ、いや違うか。外人さんの血が入ってるのかもしれない。

そしたらあの綺麗な目の説明もつくし。


1人頷きながら納得し、こちらも口を開いた。
あなた
私、あなたの下の名前。あなたのフルネーム。
よろしくね。
aslp
あなたのフルネーム?
って事はお前和人か。
aslp
こんな山奥で何してた?
銃は持ってないし…密猟じゃないよな。
あなた
えぇ、密猟??そんな事しないよ…
なんだか話が噛み合わない。

流石の私でも一般的な教養はあるから、和人という言葉は勿論分かる。

だが何故この時代にそんな言葉を。
訳が分からないままアシリパちゃんに着いて行く内に少し開けた場所にたどり着いた。
aslp
日が落ちかけてる…
おいあなたの名字、コタンに戻るのは諦める。此処で野営をしよう。
あなた
えぇ?!
あなた
い、いや待って、ほんとに私寒くて死んじゃう!!
aslp
??
火はおこすぞ。オハウも作ってやる。
あなた
だからそうじゃなくって。
私寒いの!!無理!!死んじゃう!!
幼い少女に駄々をこねる様にそう言うがあくまでも彼女は冷静で、近くにあった木の枝を集めながら小さなテント(仮)を作り始めていた。
なんだか自分が恥ずかしくなって、口を噤むと枝を集めるのを手伝い始めた。



…だが寒いのは変わらない。

震える肩を擦りながら指に息を吐きかけていると。
aslp
これ、羽織るか?
アシリパちゃんが毛皮のマントを私に差し出していた。
あなた
え、いや大丈夫だよ!!
アシリパちゃんが寒くなっちゃうよ。
aslp
私は大丈夫だ、慣れているから。
ほら、背中向けろ
なんとまぁイケメンなセリフ。
あなた
お姉さん惚れちゃうよ…
この歳になって、しかも遥かに年下の素性も何もかも全く分からない少女にときめくとは考えもしなかった。


いや待てよ、寧ろこの際そこら辺に転がってるむさ苦しい漢よりもこの可憐な少女に…
aslp
おい
aslp
大丈夫か?オソマしたいのか?
アシリパちゃんの声ではっと意識を呼び戻す。
あなた
(危ない…一歩間違えれば犯罪者級の妄想をしてしまった……)
肩には先程までアシリパちゃんが手にしていた毛皮のマントがかかっていた。

たった1枚なのに本当に暖かくて、驚きと同時に尚更この少女の素性が気になる。


慣れた手つきで火をおこしてしまった少女にほとほと関心しながら、葉っぱの敷かれた地面に腰を下ろした。
あなた
ねぇ、これっていつまで続くの?
あなた
ドッキリだよね。カメラどこ?
aslp
どっきり?かめら?
aslp
なんだそれ、美味いのか。
駄目だ。

あくまでも彼女はきちんと役者を演じ切るつもりらしい。

肩を竦めて膝を抱えたその時。
盛大にお腹が鳴った。
あなた
……やば、
慌てて自分のお腹を押さえていると、アシリパちゃんが口元に笑みを浮かべているのが目に入った。
あなた
ちょっとアシリパちゃん。笑うことないでしょ?
aslp
いや、あなたの名字はちゃんと生きてるんだなと思った。
aslp
狩りの帰りに見たことも無い服で行き倒れてる奴が居たらそりゃこの世のものと思わないのが普通だろう?
あなた
そりゃぁ…そうかもしれないけど。
なんてこった。

もうこれはドッキリとかいう類ではなく、夢なのかもしれない。

…いや、夢だ。夢なんだ、これは。


もういっその事、これはこれで楽しい夢だからエンジョイしてしまおう。
あなた
ねぇアシリパちゃん、ご飯ないの?
おにぎりとかでも良いんだけど。
aslp
オニギリ?そんな物はない。
aslp
でもオハウなら今からでも用意できるぞ。
あなた
おはう?なにそれ、聞いた事ない。
いや当たり前だろう、夢の中なんだから現実世界に無い食べ物が出てきてもおかしくない。
aslp
あなたの名字は和人だからな。
食べやすい様にチタタㇷ゚を丸めてオハウにしてやる。
あなた
ん?
あなた
なぁに、その……ちたたぷ?って
夢だと分かっているはずなのにまたもや聞いてしまう。

私がどんな質問をしても、アシリパちゃんは顔色1つ変えずに丁寧に答えてくれる。
あなた
(アシリパちゃんみたいな人が会社に居たらいいのになぁ~…)
aslp
動物の肉を細かく砕くんだ。
このタシロを使って…
ギョッとした目でアシリパちゃんの手元を凝視する。

彼女の手には大ぶりの刃物が握られていた。

その先には…リス(だったもの)。

丸太にのせられて皮を剥がれている。


まさかのここに来てスプラッタ展開?!

幸せすぎる夢は続かないってか?!
ぎゅっと目を瞑ろうとしたが。
aslp
こうやって細かく砕く。
チタタㇷ゚は、"我々が刻むもの"という意味だ。
aslp
疲れたから交代しよう、あなたの名字。
交代しながら叩くから"我々"なんだ。
あなた
え、あ……これ、叩けばいいの?
思ったよりも普通の…なんなら3分ク○キングの様な流れに少し驚きながらも手渡しされた包丁よりも少し大ぶりの刃物を手に取る。
aslp
チタタㇷ゚って言いながら叩け
あなた
えっと…チタタプ。
aslp
もっとだ
あなた
チタタプ…チタタプ……
aslp
そうだ、いいぞ。
チタタプと言いながらどんどんペースト状になっていく肉を無心で砕いていく。

よく分からないが、なんだかクセになる作業だ。
aslp
チタタㇷ゚は新鮮な獲物しか使われない。
生で食べるものだからな。
あなた
え、これ生で食べるの?
あなた
お腹壊しちゃうんじゃない?
aslp
いや、大丈夫だ。私たちは昔からこの手法で食べてきた。
今も昔も、チタタㇷ゚を食べて腹を下したなんて話は聞いたことが無い。
あなた
ふ~ん…そうなんだ。
夢ってのが惜しいな。

この子大人になったらマジで仕事出来るぞ。

是非うちの会社の救世主になって欲しい…
あなた
(あ、いやでも駄目だ。こんないい人材をうちみたいなブラック会社に入れちゃ…)
aslp
ほらあなたの名字、チタタㇷ゚寄越せ。
aslp
本当なら全部生で食べたい所だが、お上品な和人のあなたの名字の為に今回は全部丸めてオハウに入れてやる。
あなた
オハウ……あぁ、鍋みたいな感じなんだね。
ようやく話が掴めた。

つまるところ、このチタタプ?はひき肉という事だろう。

それを丸めてつみれみたいにして、オハウ…まぁ汁物に入れて鍋みたいにして食べるって事か。
あなた
うわぁ、美味しそ~…!
グツグツと煮立った鍋…いや、この場合いっそ夢に没入する為オハウと言っておこう。
aslp
ほら、ゆっくり食べろよ。火傷するからな。
あなた
は~い。
お母さんみたいなセリフがアシリパちゃんの口から飛び出し、なんだかおかしくなって笑みがこぼれた。

何度か息をふきかけて冷ましていたが、なんだか完全に冷ましてしまうのは勿体無くて思い切って口に入れる。
あなた
ん…!!美味しい…ッ!
あなた
なにこれ、初めて食べる味!!
夢だって思いなくないなぁ…
夢だとは到底思えない旨味が口いっぱいに広がる。

幸せが身体中を駆け巡り、ほんわかとした表情を浮かべた。
aslp
ヒンナヒンナ…!
あなた
なぁに?それ。
聞き慣れない言葉をアシリパちゃんが口にした。
aslp
食事に感謝する言葉。食べながら言うんだ。
あなた
へぇ……
そんな言葉、勿論初耳。

いただきますの代わりなのかな?なんて思いながらじっと手元のオハウを見る。
あなた
(…確かに、これには命が入ってるんだもんね。感謝の言葉を述べない方が失礼か。)
あなた
ヒンナ…ヒンナ。
aslp
寒くないか?
あなた
うん、大丈夫。
アシリパちゃんこそ大丈夫?寒くない?
aslp
まぁ、あなたの名字の体温があるからいつもよりは温かいな。
あなた
ふふ、そっか。
身を寄せあって毛布をかぶりながらアシリパちゃんとそんな会話をする。

夢のくせしてちゃんと眠気が襲ってくるし、人肌のおかげで尚更瞼がくっつきそうになる。
あなた
(起きたら…仕事だなぁ。)
あなた
(まず…朝イチの電車で会社行って…クレーム対応して…お昼休みに菓子折り買いに行って…それで……)
段々と薄れていく意識の中、私がひたすらに願ったのは…
これが夢じゃないこと。


それから、夢だとしてもまたこの素性も知らない少女と一時を過ごす幸せな夢を見られること。
その2つだった。
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スクロールお疲れ様で~す
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リパちゃんが可愛すぎて本当は杉元↪︎リパちゃん↪︎白石みたいな順で会うつもりがリパちゃんと出会わせてしまいました
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可愛いのでおっけーです
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今回はリパちゃんメインだったので次回は杉元、白石をメインに書かせていただきますます。

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アンケートの方もよろしくお願いしますです
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不定期更新だけどやれるだけやって燃え尽きるつもりですので
🦍
ではでは👋

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