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*・゜゚・*:.。..。.:*・
アイエンside
夜のアルバイトを始めたのは、2週間前だった
調べてみると遅い時間からでもできる仕事は沢山あって
覚えやすい仕事のバイトを毎日転々とやってみた
でも、やっぱり学校に家事にバイトの両立が簡単なわけなくて
毎日自分がすり減っているような気がした
アイエン
(夜中の2時までバイトして…
ちゃんとしたご飯食べたのいつが最後だろ……)
授業中も部活の時も家でもぼんやり過ごして
今日返ってきたテストは酷い点数だった
多分、ダンスだってメンバー入りしてる人とは思えないくらい衰えてると思う
ヒョン達は、気を遣って何も言わないでいてくれてるけど……
みんなに見放されるのも時間の問題
近いうちにダンス部は辞めることになると思う
最初から分かってた、オンマが死んじゃったんだから僕が頑張らなきゃって
頭では全部全部分かってた
でも……
バンチャン
―『イエナ、また上手くなった?』
リノ
―『今年の1年生の中では、イエナが1番自主練頑張ってるもんな』
チャンビン
―『やったな!イエナ、今日から大会選抜メンバーだぞ!』
部活は辞めなきゃ、このままじゃ体がもたないってどんなに分かってても
頭にはダンス部での楽しい思い出と
優しいヒョン達の声がこびりついて
やっぱり、辞めたくなんかないんだって……
アイエン
「……グスッ」
そんなぐちゃぐちゃした感情が、次第に僕の胸を締め付けた
数週間前から続いていた動悸は頻度が増える一方で
ただでさえギリギリなのに、身体までおかしいなんて
どんどん自分が壊れていっている気がして
もう、頑張る以外どうしたら良いか分かんなくて……
チャンビン
「イエナ、ちょっと休憩しろ」
アイエン
「はぁ、はぁ……平気、です……」
頑張らなきゃ
まだ全然踊ってないのに、疲れてるなんておかしいもん
まだ、やれるから……
アイエン
「離してっ……!!!」
僕を休ませようとレッスン室から引っ張るビニヒョンの手を振り払った
アイエン
「もっと頑張らなきゃ…頑張らないとなの…!!
ヒョンには分かんないよ!!!」
自分でも、なんでこんなこと言ってるのかわからなかった
また胸がドキドキして、立っていられなくなる
辛い…もう、やだ……
助けて……
*・゜゚・*:.。..。.:*・
チャンビンside
チャンビン
「落ち着いたか?」
アイエン
「は……い……」
保健室のベットに座るイエナの頭を撫でる
すっかり弱った後輩は、俯いて顔を上げようとしない
動悸は時間が経てば収まる
でも、傷つき続けた心は……
アイエン
「……ヒョン
僕……部活、辞めます……」
チャンビン
「は……?」
アイエン
「このままじゃ、皆に迷惑かかるから……」
チャンビン
「っ……!!」
イエナの肩をぎゅっと掴む
自分の思いが溢れてぶつけそうになったけど、相手がイエナなことを思い出してぐっと抑える
イエナが自分の気持ちに嘘をついてるのは、痛いほどわかったから
なんで、そんな簡単に辞めるとか言うんだよ
俺らが迷惑に思うなんて、そんなの理由になってねえよ……
チャンビン
「イエナ、もう物分かりがいい奴の振りはやめろ」
アイエン
「え……?」
チャンビン
「分かるんだよ、イエナが無理していつも笑ってるのくらい……
イエナのオンマが…亡くなった時だって……」
アイエン
「っ……」
数ヶ月前、イエナは言っていた
チャンビン
―『は……?母親が死んだ?』
アイエン
―『はい、交通事故で死んじゃったんです
こんな突然いなくなっちゃうとか、人生何があるか分かんないですよね』
チャンビン
―『さ、流石に学校くらい今は休んでもいいんじゃないか?
辛いだろ、色々……』
アイエン
―『まぁ悲しいですけど…休んだ所でなにも変わらないですし
むしろ天国で僕を見てるであろうオンマに元気な姿見せないと!』
イエナはあの時ですら強がっていた
ずっと、1人で……
チャンビン
「確かにイエナは強い、1人で頑張れる強さを誰よりももってる
でも……」
チャンビン
「でも、俺らが側にいるのに1人で何でも抱え込むな
苦しいなら迷わず苦しいって言っていいんだ」
アイエン
「ヒョン……」
イエナの目から溢れる涙をなるべく優しく拭ってやって
強く、ぎゅっと抱き込めた
もう充分頑張ったよ
アイエン
「ヒョン……苦しい……」
チャンビン
「え、ま、また動悸か……!?」
俺が強く抱きしめすぎたせいでまた……
アイエン
「ううん…いいの
苦しい、けど…このままがいい……」
イエナが俺の胸に頭をぐりぐりさせていた
強がったり甘えたり、忙しいやつだな
チャンビン
「…………」
でも、それでいい
イエナはマンネなんだから
もっと自分勝手で、わがままで
誰よりも、自分のことを大事にしていいんだぞ……
*・゜゚・*:.。..。.:*・
アイエンside
―1週間後…
アイエン
「ビニヒョン!お疲れ様です」
チャンビン
「おお、おつかれ」
ビニヒョンに甘えたあの日から
僕の胸は、なんだかすっと軽くなった
ずっと僕は1人で、全部自分でなんとかしないとって思ってたけど
誰かに頼るって、やっぱ大切なことだ
チャンビン
「そういや、もうバイトしてないだろうなぁ〜」
アイエン
「はい、あの後アッパとも話して…アッパも一旦休職するそうです
アッパも倒れる寸前だったから、会社も支援してくれたらしくて…健康第一だよねって」
チャンビン
「そうか、」
正直この先の不安が全くないとは言えないし
先は見えないことばっかりだけど…
アイエン
「僕は所詮子どもですしできることも限られてますからね
だから、今は純粋に高校生活を楽しもうと思いますㅎㅎ」
僕が必死にバイトしたところで、大きく何かを変えられるわけじゃない
だったら、人生で3年間しかない高校生の今を満喫しなきゃ損だよね
……なんで気づかなかったんだろㅎㅎ
チャンビン
「そーだな、
最高の思い出を作るためにも、今度の大会絶対に優勝するぞ」
アイエン
「ふふっ……ㅎㅎそうですね」
これから何十年経って
僕が大人になった時も
ヒョン達と過ごしたこの毎日を思い出したい
楽しい思い出の中に、大好きなヒョンがいつもいてほしい
あの時の胸の痛みも、幸せな今も全部
いつか、思い出して笑えるように……
チャンビン
「よし、じゃあ練習するぞ!」
アイエン
「はい!」
*・゜゚・*:.。..。.:*・'
完結です!
今日外出たらすっかり春のお天気で嬉しかったです🌸(水曜日は雪降ってたのに…)
春休みに入られた方もいるのではないでしょうか!
そういえば、私も去年の3月(正確には3月12日?)にプリ小説に初投稿したので活動を始めてからいつの間にか1年が経っていたみたいです
本当にいつも応援ありがとうございます!
これからもよろしくお願いします🌷













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。