_イエモンside
これはまだ俺が極度の人見知りではなかった時のこと
元々、俺は人に話しかけに行くのが苦手で友達がいなかった
だから休み時間とか授業ではいつも一人だった
忘れ物をした時、先生に言っても俺とはマトモに話してくれなかった。だから隣の人に借りることもできずに授業を受けた
俺が極度の人見知りになったのは虐めが原因だった
それは班の人と地球の問題について協力して調べ、それぞれの班で発表を行うというものだった
話し合いには参加できない、だからいつも自分の最低限やらなければいけないことだけしていた
でも今回は班の共同作業なので勝手に進めるなどはできない、だから俺のやらないといけないことを聞こうとした
班の人たちは無言になり、俺のことをじっとみつめ__
何事もなかったかのようにまた話を再開した
確実に俺の声は聞こえていたはずなのに皆が無視をした
一応俺は何度も聞いたり話しかけたりしたが全て無視をされた
そこから集団無視が始まり、俺に話しかける人も近付いてくれる人もいなくなった
だが、俺はそんなことよりも__
皆が俺のことを見る時の表情がなによりも怖かった
そして自分から話しかけることもできなくなってしまった
学校にいることがただただ苦痛だった
だが親に言えなかった なにせ両親は仲が悪くお互いが一緒にいる時間が少なく、俺と顔を合わすことも少なかったからだ
そんな俺に目をつけたのか、ある集団が俺を囲むようになった
最初はダル絡みだけだったのが次第に俺の私物を隠したり、嫌がらせをされたりとエスカレートしていった
そんなある時に質問された
急な質問にその時は驚いた
確かに俺は実験が大好きだった、というより理科が好きだった
実験は俺だけハブられるから出来なかったし…
どこに連れて行かれるのだろうか、というか今さっきの質問は一体なんだったのだろかと疑問ばかり浮かんだ
そして着いたのは理科室前…の隣の部屋前だった
ここにいる人の噂はすごく有名だった
両親が世界的に有名な科学者の子供で少しでも逆らえば退学にさせられ、この地域には住めなくなるなど色々だった
正直言って怖い、どんな人か全く俺は知らなかったからだ
っ…どうしよう…逆らえないし…
…この人が、メテヲ…さん?
天使の輪っか…天使のハーフなのかな
あっ、ど、どうしよう…俺、マトモに話せないんだけど…
まずなんて言えばいいんだろ…どうしよう、なんて言えばっ…
っ…確かに、俺がハッキリ言えていれば虐めになんてならなかったんだろう
なんとか絞り出した声で謝る、正直今にも泣きそうだった
その人の声は俺が今まで聞いたことのない優しい声をしていた
久しぶりのちゃんとした会話がうれしかった
俺が教科書で見たことのある物や今まさに実験をしている最中なのがわかる光景が見れたのがとても嬉しかった
あっ、やばい…!勝手に見てたから怒られるっ…
この人、すごい冷たいな…けど、優しい
少なくとも俺のことを虐めてくる奴よりかは絶対に優しい
この人、確かメテヲ…さん、だよね
変なこと言ったら噂みたいになっちゃうのかな…
絶対に邪魔しないように気をつけないと…気に障ったらダメだよね
(実験中)
実験、すごく楽しそう…実験をすることでわからなかった部分がわかるのってすごく面白いんだろうな
ま、マジかぁ…そんなに俺、顔に出てたかなぁ…
…メテヲさんの笑顔、すごく__
そこから俺は毎日メテヲの実験を手伝っていた
学校が憂鬱だったのが明るく、楽しいものになった
でも教室の雰囲気は変わらない
陰口を目の前で叩かれ、周りに人はやはり居なかった
先生も親も頼れない、苦しいことばかりな学校_____
でもメテヲが居てくれる、それだけで嬉しかった
毎日、楽しい実験をしていた
だがある日を境にメテヲは様子がおかしかった
何故そう思ったのか、そう聞かれたら答えられない
まだ二、三年しか一緒に居なかったのになぜか…
胸騒ぎがしたのだ、嫌なことが起こっている気がした
相変わらずスラッと答えるメテヲ
恐らくこれは嘘だ…でも、突っかかってはいけない
だって言いたくないことを言わせるのは違うと思うから
絶対に俺は最後までメテヲの味方でありたい
メテヲに拒絶されない限り…ずっとそばにいたい
そしてある朝、信じられない衝撃な事実が俺に降りかかった
そのニュースはある研究所についてだった
その研究所では人体実験を行っており、ただの人間を誘拐し、実験で違う種族、能力を注入していたというものだった
だがそれよりも驚いたのが…それを行っていたのがメテヲの両親だったということだった
メテヲ…大丈夫かな…
…メテヲは両親の実験について知ってたのかな…?
いや、知ってたら止めるよね
あまりにも衝撃すぎて現実を受け入れられなかった
確かめよう、メテヲに直接
信じられないんだ、だってあんなに…あんなに__
ボンッ
__優しいのに
少なくとも俺と出会ってきた人の中では絶対に一番優しい
俺のことを心配してくれて、色んなことを教えてくれて…
朝、登校すると机には落書きが沢山書かれており、その中には「犯罪者と友達」や「共犯者」など書いてあった
陰口はいつものことだったからあまり気にならなかった
でも、正直メテヲのことを言われるのは嫌だった
やっとメテヲに会いに行ける…ちゃんと理由を聞かなきゃ…
コイツら好き勝手言いやがって…
でも俺はいつも言い返せない こんなんだから俺は…
何も言い返せない自分がやっぱり嫌いだ
喉の奥がキュッと締め付けられる
でもきっと、きっとメテヲに聞いたらわかる
メテヲはそんなことしないって、ただの悪い噂だって
はぁ…やっと帰ってくれた…
思わずメテヲを見つけた瞬間、疑問を全てぶつけてしまった
きっと心底では何で俺が責められないといけないんだ、という気持ちもあったのだろう
あまりにも予想外すぎる言葉を受け入れられなかった
何でそんなこと言うんだ…!!犠牲が出る実験なんて実験じゃないって…メテヲが言ってたのに…
自分の信じていた人がそんなことを言うだなんて思わなかった
俺が見ていたメテヲは…表面上だけだったのかと
初めてできた友達だと思ってたのにっ…ずっとずっとずっと…
ダッ
それからはしばらく学校に行けなかった
行ったとしてもメテヲと前のように話せるわけでもないし、学校での虐めは変わらないのだから
しばらくして学校に行くと俺への虐めは無くなっていた
いつものように絡んでくる奴もいなかったし、机の落書きも物がなくなることも無くなった
何故かはわからなかったがそのお陰で俺は継続して学校に通うことができた
そして中学生になり、地元から離れた中学校に通っていた
そんなある時に親が食事中にふと漏らした一言に俺は気が狂いそうになった
実験体に…?じゃあメテヲの苦しんで欲しいからっていうのは嘘…?
何故か辻褄が合った気がする
俺の虐めが無くなったのはメテヲに全部移ったからじゃないかと、じゃああの嘘は__
「メテヲが近づくときっと…イエを不幸にさせる」
「メテヲが嫌われないと、イエはずっと独りだ」
「…ごめん、イエ」
ずっと自室でメテヲのことを考えていたら頭に声が流れてきた
だが確実に言えるのは…その声はメテヲだということ
でも…あんなこと、俺には言っていなかった
能力:記憶を司る
近くにいる人、もしくは身近な人ならば記憶を視ることができる。ただし、全ての記憶を視ることはできない
「全部…ぜんぶ…俺のせいじゃないか…」


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!