図書室はやっぱり静かで、正直、退屈だと思っている。
最後にここへ来たのも、授業の調べ学習のために本を探しに来た時だった。
枠が余っていたのが図書委員だったから。
なんとなくで入ってしまった図書委員。1クラスで2人ずつ。1人じゃないならいいか、
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「ハンビンくん、この本たち棚に戻してきちゃっても大丈夫?」
「あ、うん、ありがとう」
同じ図書委員だった、らしい、ジャンハオくん
彼は物静かなタイプ。
彼の友達もみんな大人しい雰囲気だ。
別に共通な話題がある訳でもないし、
一緒の委員会でも別々に仕事してるし最小限の会話を交わす程度だった。
お互いをよく知らない。
早く帰りたいなと考えながら窓の外と時計を交互に見る
すると、ハオくんが奥の棚の方に行ってから数分後、静かな図書室にこそこそ話し声が聞こえてきた。
「暇だし、覗きに行ってみよっかなー」
声のする方に近付いてみると、狭い書架の間、ハオくんが誰かと話しているのが見えた。
その声は小さくて聞き取れなかったけど、雰囲気でわかった。
楽しそうにしていた。柔らかく肩の力が抜けていて、いつもより自然な空気を纏っていた。
───あっ、笑ってる。
初めて見るハオくんの笑顔に目が離せなかった。
静かで、淡々としていて、感情をあまり表に出さない彼が、今はほんの少し口元を緩めて、目を細めて、心から笑っていた。
とても綺麗だと思った。
どんな話をしてるんだろう。
あんなふうに笑える話って、どんな内容なんだろうって、気になった。
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ある日、委員の作業がひと段落したタイミングで、俺はなんとなく話しかけてみた。
「ハオくんって、本の匂い、好きだったりする?」
……口にした瞬間、自分でもわけがわからなくなった。
振り絞って出てきた事がこれで、心の中で頭を抱える。
「なにそれ、うん好きだよ」
絶対失敗した。
そう思ったその時、ハオくんがふと、目を細めてくすくすと笑った。
───その笑顔が、やばかった
俺があの時見かけて『綺麗だ』と思っていたあの笑顔。
それが、俺に向けられた瞬間。
おかしな質問、というように無邪気で、優しいような、柔らかい笑みが俺の胸を一瞬で貫いた。
…あっ、て思った。
落ちた。完全に。
この人の笑顔に、俺は恋をした。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。