第66話

シャッター🐱
238
2022/04/30 14:12











 アルバムの最後には

 後ろ姿の君












 その背中に 指を乗せたら

 画像が動き出して

 振り返ったりしないかな なんて

 ありえないことを考えた








 温もりの代わりに パタパタと

 雫が画面に落ちたら

 もう 止まらない











 いつも 俺はそうだ

 最後の瞬間さえ

 君を カメラ越しにしか

 見れてなかった









 見ようとしてなかったんだな













      シャッター









あなた
  じゃあ…行くね  
🐱
🐱
  あぁ…  








 あなたはそう言って

 一瞬 俺の目を見た













 そして ふ と逸らされた














 肩からかけた 大きな鞄が

 重たいのか 身体が傾いてる










 自然と " 俺が持つ " なんて

 言いそうになる自分が

 滑稽で 笑えた

 全くもって 実感が無さすぎるんだよ














 その傾いた背中に 思わず

 レンズを向けた


























 パシャリ とシャッターが落ちる音がして

 あなたが振り向く












 レンズ越しに 目が合って

 泣きそうになるのを

 天井を仰いで 誤魔化す

























 視界の端に映ったあなた

 一文字になった その綺麗な薄い唇は

 きっと 俺と同じように

 涙を堪えてんのかなって

 頭の中で過ぎる


















あなた
  ……わたしばっかり  
🐱
🐱
  …??  
あなた
  いつも ユンギはカメラ越し  
あなた
  ユンギのこと…
  ちゃんと見たいのに  















あなた
  見せてくれなかったね  
🐱
🐱
  ・・・・  











 仕事柄会える時間も限られていたから

 その分 思い出を と撮り始めた

 あなたの写真はいつしか膨大な量になった













 カメラを2人で覗いて

 変な顔の自分を見つけては

 消してくれ とせがんだあなたの写真も

 俺にしか見れない 大事なもんだと

 思ってたのに














🐱
🐱
  そんな風に 思ってた?  
あなた
  ……ごめん  
🐱
🐱
  いや…謝んな  
🐱
🐱
  悪いのは 俺だから  
あなた
  そんなこと…  
🐱
🐱
  そんなこと " ある " だろ?  









 ドサッと音がして

 大きな鞄が 床に落ちた













 手の甲を 顔に当てて

 小さく呻くような 彼女の声に

 奥歯を噛み締める












 離れた方が お互いのため

 んなことは 当然わかってるのに












 手の中にあったカメラを

 傍らに置いて 立ち上がったら

 指の隙間から

 涙に濡れた あなたと目と目が合う













🐱
🐱
  " 思い出 " より  
  " 現在いま " だって
🐱
🐱
  そんなの当たり前なのにな  
🐱
🐱
  気付いてやれなくて  
  ごめん











 お前のアルバムの中の写真も

 俺のも 全部消してしまおう











 そんなもの なくたって

 俺たちはちゃんと 向き合っていけばさ

 やっていけるじゃん














🐱
🐱
  あんなの もう要らない  










 傍らに転がったカメラを

 ちらりと 一瞥して

 また あなたを見る













 何者にも遮られることなく

 真っ直ぐに















あなた
  ユンギ…?
  私たちは もう…  
🐱
🐱
  もう一回だけ…
  チャンス…くれよ  












🐱
🐱
  精一杯 やってみるから…  
🐱
🐱
  それでもダメだったら  
🐱
🐱
  引き止めない  











 情けないって 笑われるだろうか

 あなたの涙を拭う指先が 震えて

 抱きしめてしまいたくなるけど












 誤魔化しちゃ ダメなんだ










あなた
  ユンギ  









 目の前のあなたが

 俺を見ている






 情けない 俺を

 真っ直ぐに










 いつも そうだ

 あなたは 見透かすように

 俺を見ていた










あなた
  ありがとう  
あなた
  そんな風に言ってくれて  
あなた
  ちゃんと 伝わってたよ  










 きゅ と

 あなたの冷たい手で 握られたら

 もう 遅かったって

 嫌でも気付いてしまう



























あなた
  ごめんね 心が狭くて  
🐱
🐱
  ……んなことない  
あなた
  ううん もう…ダメなの  
🐱
🐱
  ・・・・  
🐱
🐱
  ……そう  














 離れていく 指先が

 もう一度向けられた 背中が










 苦しくて 止まらない涙が











 後悔だけを 胸の中に呼び起こして

 溺れてしまいそうだ



















 END



 シャッター / Yoongi


 優里さんの曲で
 ゆんちゃんのリクエストでした♡

 リクエストありがとう〜〜💕💕




 いやしかし
 ユンギ氏は切ないお話が似合いすぎて
 困りますね ということです←

 Tearにも通ずるような
 お話になったようななっていないような
 そんな展開になりました😇

 拗らせてるユンギ氏って最高だね?(オイ




 カメラを構えるユンギ氏の画像を探したら
 結構見つかったのですが
 今回はこれにしてみました✨

 他にはこんなのもありました♡





 何って手の甲の筋ですよね♡♡♡
 たまらんなぁ🤤

 ということで 
 無駄に長いアトガキですみません💦

 ゆんちゃんリクエストありがとう〜💓💓

プリ小説オーディオドラマ