ミシェルは当然、目を見開き彼に聞き返そうとした。
ルパンがなにやら確信をしたその時、鍵を架けた筈の扉が破られる音がした。
破られた扉からぞろぞろと入ってきたのは、何十人もの警備員と、ミシェルの父親であるこの屋敷の主であった。
警備員「いたぞ!ルパンだ!!」
警備員「お嬢様は無事か!?」
警備員「お嬢様!ソイツがルパンです!
離れてください!」
父親『わが娘よ…こちらに来い、
その泥棒を捕まえるのに邪魔だからな』
ミシェルは彼女の父親に鋭い目付きで声をかけられた途端、青ざめて震えだした。
ルパンは震えてる彼女の肩を優しく掴み引き寄せる。
父親『なっ…ミシェル貴様…なぜ言ったのだ!!!』
ミシェルは父親に鬼のような形相で怒鳴られた瞬間、
体から一気に力が抜け気を失った。
ルパンはその彼女の体を受け止め姫抱きで抱える。
そう言った瞬間、ルパンはミシェルを抱き上げたまま煙玉を床に落とし煙にまみれて姿を消す。
父親『な!?逃がすな!追え!追えええええっ!!』
ミシェルの父親の叫びが響き、警備員がぞろぞろと、
ミシェルを抱えたルパンを追い始めた。
屋敷から少し離れた林の道に、
一台の黄色い車が止まっている。
助手席には、ルパンの相棒である次元大介が、煙草をふかして座っていた。
すると静寂の空気は、
大人数の足音と大声により壊された。
ルパンは助手席のドアを開いた…と思われたが、ルパンが開いたのは後ろの席のドアだった。
それが不思議に思った次元は、後部座席に振り返る。
するとそこでは、ルパンが1人の白髪の10代くらいの少女を後部座席に寝かせ自分の上着を布団代わりに被らせていた。
次元は納得いかないような態度をとったが、追手が多く迫ってることもあり言われた通り車にエンジンをかけて走り出す。
アジトに辿り着いたルパンと次元。
ルパンはミシェルに上着を着せたまま、姫抱きで歩き出して玄関へ向かう。
次元はそれよりも前に玄関の扉を空け、両手が塞がっているルパンをドアを押さえて中へ入らせる。
ルパンは自分の寝室のベッドに彼女を優しく寝かせ、
静かにドアを閉めてリビングに戻った。
バーボンが入ったグラスを抱え、帽子を外した次元はソファに座りながらルパンに最大の疑問を問う。
次元は今回、ルパンからは屋敷のお宝を手に入れるだけと聞かされていたため、てっきり宝を持って帰ってくるのかと思っていたのだから。
ところがルパンが持って帰ってきたのは、宝などではなくとても若い少女。
一体自分が車で煙草をふかしている間、なにがあったと言うのだろうか…。
するとルパンはズボンのポケットから、ミシェルが自ら傷つけたことにより流した涙から生み出されたサファイアを次元に投げ渡す。
※ここから先、涙石病については作者の勝手な設定です
涙石病
それは涙が宝石に変わるという奇病。
患った者により生み出される宝石は様々で、ミシェルの場合はサファイアに変わる、他の者ならサファイアかもしれないし、ルビーかもしれない。
なぜそのようなことが起きるのか、それは長年医者が研究しているがわかっていない。
患った本人は涙が宝石に変わるときはかなりの痛みをともなうらしい。
次元から聞かれたルパンは俯いて静かに答える。
次元はルパンがこれから何をしようとしているのか察したようで、仕方ないなと言わんばかりのため息をついた。
そしてルパンと次元は、もう夜遅いのでシャワーを浴びて寝ることにしたのだった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。