第16話

○番外編【幼児化/1】
201
2026/04/30 09:00 更新
クロム
うおおおおおおー!!!!
ヤベー薬ができたぜ!!!
ペルセウス号の内の何処か…おそらくラボから、クロムの声が聞こえてくる。
薬って…あまりにも怪しすぎる。
まあでも、気になるには気になるので覗きには行くけれど。
あなた
……何を作っ────
ドアを開けた直後、こちらへ何かが飛んでくる。
あなた
!?!?
こちらへ飛んできたのは、何か怪しげな薬品が入っているフラスコ。
私はスパイの性なのか、反射的にそれを手で払ってしまい、フラスコが粉々に破壊される。
当然中に入っていた薬品は宙を舞い、私の手についてしまう。
あなた
…クロム、この薬品って─
ピカピカッ!!
周囲を眩しい光が包む。
私もその拍子に目を瞑ると、
意識が遠のくのを感じた。
[noSide]
あなた
......? Who are you, big brother?  I have to go to my lessons now...……?お兄ちゃん、誰?
私、今からお稽古しないと…

光が消えた直後、
そこには幼い女の子が立っていた。
ALL
はあ!?!?
そこにいたクロム、千空、龍水は目を見開いて彼女を見る。
いろんな方向から驚きの視線を向けられた彼女は、怖くなってしまったのかドアの影へ隠れてしまった。
クロム
なんでちっちゃい女の子が出てくるんだ!?あなたの下の名前(カタカナ)は…!?
あなた
......Um, ah, excuse me...…あ、え、あの…
あなた
Is this... Japan?ここ…日本なんですか…?
石神千空
ああ、日本だな。
当たり前のことのように答える千空に対し、
明らかに混乱する女の子。
あなた
Why... why am I in Japan...!?な…なんで日本に…!?
あなた
What should I do...?ど、どうすれば…
数秒経つと今の状況を理解したのか、
頭を抱えて考え始めた。
そして深呼吸をしたと思うと、
たじたじの日本語で喋り始めた。
あなた
(こういう時は、日本語を使うんだってお父さんが言ってた)
あなた
わ、私、お父さんに呼ばれてて…
お稽古、しないとで…。
あなた
だから、あの、お父さんのところにいきたくてっ…
自分のスカートをぎゅっと握って、勇気を振り絞るように話す女の子。
その目には微かに涙が溜まっており、知らない大人に話しかけることをとても怖がっているように感じた。
石神千空
……あ"ー、今日はそのお稽古とやらは中止だってよ。俺はお前のお父さんの知り合いってとこだ。
女の子は驚いたように顔を上げ、千空を見つめる。
その瞳には、なにも汚れのない喜びだけが映っていた。
あなた
…ほ、本当なの?お父さん、今までお稽古をやめたことなんかなくて、ずっと銃の練習ばっかりしてたのに…!
幼い女の子から出てきた“銃”という単語に、
彼らが目を見開く。
その中で、1人千空のみが状況を理解したように頭をかいた。
石神千空
…お前、あなたの下の名前(カタカナ)だったりしねえか?
あなた
え、うん、私あなたの下の名前(カタカナ)!お兄さん、なんでわかったの…?あ、お父さんの知り合いだから?
屈体のない笑顔を向ける、“あなたの下の名前(カタカナ)”と名乗る少女に、千空が「やっぱりな」という視線を向ける。
石神千空
こいつ、あなたの下の名前(カタカナ)の幼少期だ。
ALL
はあ!?!?
あなた
お兄さんたちはなんてお名前なの?
目を見開く龍水と、目を白黒させるクロム。
そんな中、一人の少女が千空のほうへと歩いていた。
石神千空
あー、俺は千空。まあ、お前の先生みたいなものだな
七海龍水
俺は七海龍水だ!
クロム
俺は科学使いのクロム!
次々と自己紹介をする3人。
そんな中、サラは目に涙をためて笑っていた。
クロム
ど、どうしたんだよ!?
あなた
…私ね、お母さんとお父さん以外に、二人の人としか話したことなかったの。
あなた
…お兄さんみたいな大人の人と喋るのも初めて。だから嬉しいなあって、
クロムの慌てた質問に対し、
とても健気な回答を返す。
それはあまりにも普通とかけ離れており、あまりにも酷なことだった。
七海龍水
ハッハー!!ならば、これから俺たちといくらでも話せばよかろう!
七海龍水
欲しい=正義だ!
欲しいだけ友達を作ればいい!
クロム
おう!そうだぜ!友達なんて俺らがいくらでもなってやるよ!
そんな龍水たちの言葉に、目を見開いたあなたの下の名前(カタカナ)。
あなた
いいの?私、お友達なんて…。今いるお友達…いや、知り合いも、親にないしょで会ってるだけで…
ちょっと悲しそうにうつむいてるサラに対し、千空がしゃがんで視線を合わし、こう言った。
石神千空
お前が友達を作るか作らねえかなんて、誰にも決めていいことじゃねえ。
石神千空
俺らが預かってる間、好きなことをすればいい
あなた
…!!
あなた
そっか…そうなんだ…
あなた
ありがとう、お兄ちゃんたち!
石神千空
〜〜…!!
七海龍水
ハッハー!いい笑顔だ!
クロム
ああ、いいと思うぜ!
やっと満面の笑顔を浮かべたあなたの下の名前(カタカナ)を見た3人は、その可愛さにやられたようだ。
クロム
ほら千空、お前も褒めてやれよ
石神千空
……はあ。
…お前は笑ってたほうがいい。
そっちの方が喜ぶやつもいるだろ。
そっぽを向いて話す千空。
その耳は、ほんの少しだけ朱色に染まっていた。
コハク
ハ!なんだ、この可愛い女の子は!
西園寺羽京
あはは、本当に可愛いね
あさぎりゲン
うーん、でも誰かに似てるような…
あなた
…こ、こんにちは!
石神千空
あ〜、こいつは…
あなた
わたしは、あなたの下の名前(カタカナ)です!…お兄ちゃんとお姉ちゃんのお名前は?
あなたの下の名前(カタカナ)の全力の自己紹介に、驚きを隠せない3人。
そして、そんな3人を見て笑っている人が3名。
石神千空
ククッ、こりゃ予想通りの反応じゃねえか
七海龍水
ハッハー!そりゃあ、いつもあんなに真顔なサラがこんなに可愛くなっていれば驚くだろうな!
クロム
コハク、すげえだろ!これも全部俺がやったんだぜ!!
なぜかドヤッとしているクロムと、思った通りの反応を受けることができて喜んでいる千空に龍水。
だが、この3人の言葉はコハクに聞き取られることはなかった。
コハク
ハ!サラの幼少期はこんなに可愛かったのか…!!
コハク
いや、今も十分可愛いのだが系統が違うというか
あなた
えっと…コハクお姉ちゃんであってる…?コハクって言ってた気がして
コハク
ああ、コハクであっているぞ!
石神千空
あー、こりゃ完全に聞こえてねえな
あさぎりゲン
あはは、コハクちゃんってそういうとこあるよね
コハクは幼少期サラの可愛さに圧倒され、いつの間にか色々と世話を焼いている。
スイカがいるからか、幼い女の子の世話は手慣れているようだ。
あなた
えっと、お兄ちゃんは…?
西園寺羽京
僕は羽京。
好きに呼んでくれて大丈夫だよ
あなた
じゃあ羽京お兄ちゃん!
西園寺羽京
〜〜…!
▶羽京に1000ダメージ!
▶羽京は瀕死だ!
あなた
う、羽京お兄ちゃん、大丈夫…?
▶羽京に追加ダメージ!
▶羽京・DOWN!
石神千空
あー、こりゃ最後の一撃与えたな
あさぎりゲン
オーバーキル…
あなた
だ、大丈夫かな…
石神千空
ほっときゃ治る
せっせと解毒薬を作り始めた千空と、
あなたの下の名前(カタカナ)の方へ歩いていく龍水。
龍水はしゃがみ込んであなたの下の名前(カタカナ)と視線を合わすと、目をのぞき込んだ。
七海龍水
そうだ!
フランソワのところへ行こう!
七海龍水
フランソワならドーナツも作れるはずだ!
あなた
ほ、ほんと!?
あなた
そ、そんなものほんとにあるの…!?
あなた
ど、ドーナツ…食べてみたい…!
目をキラキラさせて龍水についていくサラを、千空が視界の端で羨ましそうに眺めていた。
あさぎりゲン
行かなくていいの?千空ちゃんは
石神千空
俺は子供の世話とかできねえからな。
石神千空
あいつらが世話してる間、俺はおありがたーく解毒薬でも作ってるわ
石神千空
ククッ、本来ならもっと人体実験させてもらいてえとこだがな
あさぎりゲン
ひえー、ドイヒー…
あさぎりゲン
んー、じゃあ俺は見てくるよ?
石神千空
ああ、とっとと行ってこい
ゲンは部屋から出たと思うと、
あからさまにため息をついた。
あさぎりゲン
(千空ちゃん、話したいなら話したいって言えばいいのに)
あさぎりゲン
(まあ、それができないのが千空ちゃんなんだけど)
メンタリストは、何かを考える表情をしながら、
フランソワの元へ歩いている龍水たちとあなたの下の名前(カタカナ)を追いかけた。

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