怒りで握った拳がふるふると震える
そう言いながら、男が私を指さした。
自分が昔人見知り…ということをバラされるのはなんか嫌だった。
女性が私に手を差し出してくれる。
握手を求めているらしい。
───意外とフレンドリーな人なのか…?
クラピカのことが一瞬よぎった。
クラピカとのことを考えると、旅団員と関係を持つのは、かなりまずい…
どうすべきか分からず、クロロの方をちらりと見る。
……が、すぐに後悔した。
クロロの目が、きらきらとかがやいている。
旅団員の人と私が仲良くなることが嬉しい
らしい。
…クロロの期待の目には耐えきれず、差し出された手を握ってしまった。
マチさんがフィンクスさんの腹を、肘で軽くつつく。
そこで自分の失言に気づく。
───私はクラピカの仲間…なのに、こんなことを言ってしまったら、まるで私が……!
しかし、旅団の人達はそんな私の考えを知るはずもない。
ただ嬉しそうに笑ってくれた。
その笑顔を見て、私はまた新たな疑問を見出してしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!