大国の一つ、Flower。名前の通り、花が咲き、匂いが漂い。この世で一番美しい国とまで言われていた。しかし…今では街の人は皆こう言う。行くなら離れにしなさい。首都…Gardenには行ってはいけない、と。
ボロボロの服を着て、暫く宿にも入っていなかったのか。無精髭を生やした男は彼にそう問う。彼は店頭からGardenへつながる道…定期的に光る方向を見ては、頷く。
また一つ光ったと、グレイと莉々衣は目を向ける。ここから見えるGardenの城…光がついていないと言うことはおそらくまた零音は突っ走っているのだろう。王様が死んだら困ると言うのに、彼は勝手に外へ出ては民を救う。救世主とは言われてはいるものの、大馬鹿者であると言うのはFlowerの誰もが知っていることだ。ふと店の奥からがたり、と大きな声が聞こえ、続けて悲鳴。暫くしてグレイは慌てて避けようとするものの、背後に衝撃が走る。
手をついたもののグレイを布団にする様な形で乗っかる女性。彼女は澪薇…花屋に通う誰もが知っている。花屋のマドンナ…ただし凄くドジで不幸者。お客さんに体当たりする形で転ぶこともあるので、花屋に通う人の体幹は凄くいいのだとか。
起き上がってはジリジリと後ろへ下がり始める彼女を見て何か察したのか、グレイは大袈裟に手を引っ張る。目を白黒させる澪薇へ莉々衣は「後ろに花があるから危なかったよ」とくすくすと笑う。慌てて前に出れば今度はグレイの膝を踏み、前へ転ける。なんでそうなるんだよ!と叫ぶグレイを他所に道路へほぼ顔面から突っ込む澪薇を慌てて助け起こす。
それを聞いて不安そうな顔をしたグレイは澪薇を店頭の椅子に座らせると立ち上がる。
莉々衣は少し迷った後、一枚の名刺サイズの紙を渡す。グレイはそれに目をやり、そしてそこに書いてある文を見て険しい顔をする。
頷く莉々衣。粉々に破り捨てられた紙には_『王宮に毒華の暗殺者が入った』そう記してあった。
next『Garden人数+5』
番外編小話
end












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。