第3話

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2026/02/14 13:46 更新

大国の一つ、Flower。名前の通り、花が咲き、匂いが漂い。この世で一番美しい国とまで言われていた。しかし…今では街の人は皆こう言う。行くなら離れにしなさい。首都…Gardenには行ってはいけない、と。
グレイ・レヴィオスタ
随分と荒れ果てているな。少し前まではまだ花があった。…またマフィアとの戦争が激化したと言うことか…莉々衣
ボロボロの服を着て、暫く宿にも入っていなかったのか。無精髭を生やした男は彼にそう問う。彼は店頭からGardenへつながる道…定期的に光る方向を見ては、頷く。
黒川莉々衣
ええ。グレイ君が居ない1ヶ月の間に随分と激化しました。マフィアが少しずつ下がってはいるものの、警察は市民を守りながら戦っている。人質を取ることはないものの、定期的に民が死に、宿屋へ運ばれています。
グレイ・レヴィオスタ
彼女等…宿屋の人たちは家を爆破された者を泊らせ、死体を別の場所へ運んでいると聞く。もう少し負担を減らしてやれればいいが、相手はマフィア。流石に俺が立ち上がったところで何も状況は変わるまい。それで変わっているのなら…零音がどうにかしているだろうからな。
黒川莉々衣
そうでしょうね。Gardenの戦争が激化することで、花は潰え…こちらとしては繁盛するんですけど。困るものは困ります…買い手が死ぬんですから。
また一つ光ったと、グレイと莉々衣は目を向ける。ここから見えるGardenの城…光がついていないと言うことはおそらくまた零音は突っ走っているのだろう。王様が死んだら困ると言うのに、彼は勝手に外へ出ては民を救う。救世主とは言われてはいるものの、大馬鹿者であると言うのはFlowerの誰もが知っていることだ。ふと店の奥からがたり、と大きな声が聞こえ、続けて悲鳴。暫くしてグレイは慌てて避けようとするものの、背後に衝撃が走る。
グレイ・レヴィオスタ
澪薇…ッ!相変わらず不幸だな、
手をついたもののグレイを布団にする様な形で乗っかる女性。彼女は澪薇…花屋に通う誰もが知っている。花屋のマドンナ…ただし凄くドジで不幸者。お客さんに体当たりする形で転ぶこともあるので、花屋に通う人の体幹は凄くいいのだとか。
蒼月澪薇
済みません…!そのつもりはなくて…大丈夫でしょうか、?
グレイ・レヴィオスタ
伊達に旅人をやっていない。前なんて…FlowerとInsectを繋ぐ砂漠で大百足に出会って体当たりされてな。肋骨を幾つかやった。寝ている時間だったはずだが…どうやらFlowerから緑が消え始め、Insectも水が減ったことで少しずつ活動範囲だの時間だのを変えたらしくてな。参った。
蒼月澪薇
え…お、大百足ですか…?百足の、大きいやつということですよね…
起き上がってはジリジリと後ろへ下がり始める彼女を見て何か察したのか、グレイは大袈裟に手を引っ張る。目を白黒させる澪薇へ莉々衣は「後ろに花があるから危なかったよ」とくすくすと笑う。慌てて前に出れば今度はグレイの膝を踏み、前へ転ける。なんでそうなるんだよ!と叫ぶグレイを他所に道路へほぼ顔面から突っ込む澪薇を慌てて助け起こす。
グレイ・レヴィオスタ
そういえば…他のメンツはどうした。花屋の店主と副店主が揃ってて普通のメンツがいないのは珍しいな。
黒川莉々衣
嗚呼…彼女等ならGardenに。王様が民の…というか、子供に花冠を作りたいからと発注して。俺は店長だから誤って死ぬわけにもいけないし、かといって彼女を連れてくにしろ残していくにしろ心配で。一応情報屋と戦争の位置をすり合わせて一緒に向かってもらったから平気だと思うけど。
それを聞いて不安そうな顔をしたグレイは澪薇を店頭の椅子に座らせると立ち上がる。
グレイ・レヴィオスタ
王様にはInsectの情報を伝えないといけない。情報屋も一緒にな。だから俺も今からGardenへ向かう。…届け忘れたものとかはないか?
莉々衣は少し迷った後、一枚の名刺サイズの紙を渡す。グレイはそれに目をやり、そしてそこに書いてある文を見て険しい顔をする。
グレイ・レヴィオスタ
王宮での話は口に出せないからか。…これは不味いだろう、明らかに。なぜ御前が情報屋より先に手に入れたかは知らんが、急ぎ伝えてくる。
頷く莉々衣。粉々に破り捨てられた紙には_『王宮に毒華の暗殺者が入った』そう記してあった。

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黒川莉々衣
そういえば今では当たり前みたいに片腕ついて保ってるけど、昔は澪薇ちゃんがグレイ君に転びに行った時潰れてたよね。身長がそう変わらないから。大百足と追いかけっこをしたのもあるかもしれないけど、それで体幹とか反射神経身についたんじゃない?
グレイ・レヴィオスタ
それは内緒の約束だろう。…ほら、澪薇が申し訳なさそうな顔をして…あっ、危ないだろ、。
蒼月澪薇
済みません!!今私の目の前に虫が通って、避けようとしたら左足があちらの方向に…
黒川莉々衣
やっぱり澪薇ちゃんのおかげじゃない?
グレイ・レヴィオスタ
うるさい。

end

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