──────りうらside
いつか見たあの草原にある木の下
今日は心地いい風が吹き、思わず歌いたくなる陽気で
俺はいつかないくんに宛てた、あの曲を今日も口ずさむ
自由になった体で、自由に動ける手で、自由に出せる声で、まだ……少し慣れなくて不自由な足で
広い草原という名の天国に、どこまでも、音を紡いでいく
俺が歌う時、必ずと言っていいほど俺の横に座り、静かにその音を聞いている「過去の俺」
まだ歩けていた、少しツンデレだけどどこか幼げで可愛い、あの日までの俺だ
そう言ってまだ少し不慣れにギターを持つ俺
少し音出しをした後、「これがGコード、これがCコード」って一音一音出していく姿が懐かしい
褒めると嬉しそうに少し照れる俺
もちろんまだまだだけど、頑張っているその姿は、自分の過去の姿とはいえ素直にすごいと思う
少しそう過去に思いを馳せていると、隣で座っていた俺がポツリと呟いた
「また生まれ変わりたい」って思わないの?
肘でつつかれながら俺に言われ、メンバーや先生、師匠はもちろん、家族にスタッフさん、すたぽらやシクフォ二のみんなやリスナーさんのことを思い浮かべる
え、今のが神様?
なんか……不躾だけどチャラいな←
空を見上げながらそう言う俺に、俺は少し考え込む
ここでの生活も悪くはないし、不自由なく、本当に自由に過ごしているけど……
何か、物足りない
俺の考えにやっぱり少し悩む
全部、忘れちゃうのか
ないくんに会えない、この見た目じゃなくなるっていう可能性もあるし
10日後──────9月1日
ないくん(赤組)主人公小説、「──────」スタート














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。