リビングの照明がぽつりとひとつ、
黄色い灯を落としていた。
外はまだ夕方だけど、部屋の中は静かで、
まるで夜みたいな空気だった。
いま宿舎には、
ころねえとあなたとリーダーしか居ないから。
キッチンに立っているころねえが、
手際よく湯気の立つおかゆを器に移す。
その手元を見ながら、
私はひざに置いたタオルをぎゅっと握った。
心さんは、器を私に手渡してから、
目だけで「お願いね」と言った。
私は小さくうなずいて、器を受け取る。
そう言って、ころねえはいつもより少しだけ優しい笑みをくれた。
返事はないけど、静かな気配が返ってくる。
そっとドアを開けると、
布団の中で丸くなっている桃菜ちゃんの背中が見えた。
肌寒そうに肩が少しだけ揺れていて、
それを見て私の胸がぎゅっとなる。
ゆっくり振り返った桃菜ちゃんの目元は、
少し赤くて、熱っぽい。
でも、どこかで眠れていないような、
乾いた光も宿っていた。
かすれた声。
でも、ちゃんと名前を呼んでくれるのが、
リーダーらしい。
そう言って器を渡すと、
桃菜ちゃんは小さく笑ってから、体を起こした。
桃菜ちゃんの口から「ここ氏」って名前が自然に出てくるのを聞いて、
“ やっぱり特別なんだな ”
と思った。
rebloomというケミの深さは、
特別なんだと思う。
少し黙った。
その上目遣いずるい
ももなちゃんが少し照れくさそうに笑う。
少し黙ってから、
桃菜ちゃんが私の方に体を預けるように寄った。
それは、ほんの一瞬。すぐに戻る。
でも、リーダーがそんなふうにしてくれるのは、
滅多にないこと。
心から、信頼されているんだってわかる距離。
私は一瞬だけ、心が跳ねた。
でも、平静を装う。
しばらく、ふたりの沈黙があった。
その間、私は器のスプーンをそっと持ち上げ、
冷ましながら桃菜ちゃんに差し出す。
その小さな仕草だけで、リーダーはふわっと笑った。
眠そうに、でも穏やかな顔で。
私の行動で、こんな顔をしてくれるなら。
それだけで、今日一日分の疲れが、静かに溶けていく気がした。
続く













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!