前の話
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いつからだろう。こんなに嫉妬するようになったのは。
「ごめん○○。俺🌷のところに行かなきゃいけなくなった」
『そうなんだ。じゃあ、またね!』
「ほんとにごめんな。一緒に帰ろって言ったの俺なのに」
『気にしなくていいよ!いつでも一緒に帰れるんだしさ!』
初めの方は、幼なじみのことも気にかけてて優しいんだなって思ってた。
でも、呼び出される回数が増える度、私の心は黒く染まっていくようだった。
「△△が雷怖いらしいから帰るわ」
雷なんて得意な方が少ないでしょ。私の家は今日1人だから秋くんに一緒にいて欲しかったのに⋯。
🌷が怪我したらしい。🌷が元気ないって。どうしよう。
口を開けば🌷、🌷 。
そんなに🌷さんが大事なら🌷さんの方に行きなよって言おうとした。でも言えなかった。
どんな秋くんでも好きだから。
気付けばいつの間にか秋くんはモテ始めてた。
「木葉くんって彼女いるのかな?」「いるんじゃない?ほら、○○さん。一緒にいること多いじゃん。わかんないけど」「○○さんかぁ。私の方が可愛くない?奪っちゃおうかな」
「やめときな」「てか木葉くんって優しすぎない?」
あろうことかボディタッチをする人まで現れた。
その瞬間、『私の秋くんに触らないで』そう言っていた。
「え?○○どうしたの」秋くんが不安そうな顔で聞いてきた。
『あ…ごめん』
「○○さん彼女面してる?笑」「てか○○さんって嫉妬重くない?」
やってしまったと思った。
あぁ秋くんにも嫌われた。どうしよう。
束縛が苦手だって知ってるのに。自分のエゴで。
自己嫌悪だった。負の感情に支配されて、私は人気のない非常階段まできた。
その時、「どうかしたんですか?」と声をかけられた。
声の主は赤葦だった。
『ちょっと色々あって⋯』
「木葉さんと喧嘩でもしました?」
赤葦は私と秋くんが付き合ってるって知ってる人。
『いや、そうじゃなくて⋯。 自分の問題っていうか』
「俺で良ければ話聞きますよ」
『ありがと。実はさ、秋くんにボディタッチしてる子がいて、それを見た瞬間に私の秋くんに触らないでって言っちゃったんだよね』
「あ〜、なるほど」
『束縛苦手ってわかってるのに。絶対嫌われた』
「でも○○さんが嫉妬を露にするのって何か理由があったんですよね?」
『いやさ、秋くん幼なじみいるんだけどね、放課後呼び出されたりとかデート中雨降ってきそうだし🌷は雷苦手だからって🌷さんのところに行ったりすることが多くて⋯それなら🌷さんのとこ行きなよって思ってた時にクラスの女子がボディタッチしてるとこ見て』
「それで爆発したと」
『そうそう』
「それは木葉さんが悪いですね」
『だよね〜。でもさ、ちょっと🌷さんのところに行くのを控えてくれたらいいだけだと思うんだよ。そんなに気にかけてるんなら🌷さんのところに行けばいいのに』
「ならいっそ別れたらどうですか?」
『1回別れようと思ってさ、秋くんに言ったんだよ。そんなに幼なじみを優先するんなら別れよって』
「それで木葉さんは?」
『いやだ。絶対別れないって』
「そうですか」
『誰にでも優しい秋くんを好きになったのは私なんだけど⋯。 確かに優しいのはいいことなんだけどさ、傷つくんだよ。秋くんの彼女は私なのに。釣り合ってないって何回も言われるし。でも秋くんが好きでいてくれてるんなら、なんでも良かったんだけど、もう限界。』
「もし別れるんなら、俺を利用してください」
『そんなこと出来ないよ。秋くんを忘れるために赤葦を利用するんなんて。』
「○○さんのそんなとこが好きなんですけど。自分のことも大事にしてくださいね?」
『うん。ありがとう』
その後私は秋くんに“別れよ。今までありがとう”と連絡した。
秋くんの笑顔も、優しさも、おもしろいとこも、ハグする時においでって言ってくれるとこも大好きだった。いや、過去にするには早すぎるのかな。今でも大好きだよ。でも、これからは他の人にするんだよね。
これ以上好きになれる人は現れないってほど大好きで。
秋くんの前では素直な自分でいられた。
些細なことにも気付いてくれて、髪型を変えた時は“すごく可愛い”って褒めてくれた。
最後の最後に素直じゃなくてごめんね。
“本当に私のこと好き?”って言葉は付き合ってる時はどうしても聞けなかった。好きじゃないって言われるのも、好きだって言われるのもどっちも苦しくなるから。
どっちにしろ秋くんに苦しそうな顔はさせたくなかったけど、もういいよね。
“本当に私のこと好きだった?”そう連絡してブロックした。
秋くんと過ごした日々はかけがえのない宝物だよ。
嫌なことを嫌って言えない彼女でごめんね。
秋くんは私の王子様だねって言ったら、言えたら良かったのかな。
もし秋くんは私の王子様だって言ったら、きっと照れちゃうよね。
でも、きっと秋くんは○○は俺のお姫様だって言ってくれるんだ。
秋くんとずっと一緒にいたかったなぁ。
頑張って立ち直らなきゃダメだよね。
赤葦にも怒られちゃう。だから自分のこと大事にしろって言ったでしょって。
こんな私なのに好きになってくれてありがとうだよ。
私は、秋くんが誰よりも幸せになることを願ってるよ。
だから、絶対幸せになってね。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。