太宰 く、るしッ
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さっきまでは泣いてばかりいたはずなのに、急に目の鋭さを変え、私の呼吸器を絞めたのです。
私の母は、そういう、情緒というものが壊れているような人でした。
母という生き物は怨みと世間の言う愛の狭間でこのような行動をするのでしょうか。
苦しい、このまま死んでしまえればどれだけ楽なのでしょうか。
私は苦しさから、人間の生存本能とでも言いますか、その様な感情からじたばた、じたばたと暴れておりました。
しかし、未だ幼く、栄養もろくに取れない環境が続いておりましたので、その暴れは長くは続かなかったのです。
母は、そのまま絞め殺して仕舞えば良いものを、私が急に暴れを止めたことに気がつくと、いきなり呼吸器を絞める手を留め柔らかくも温かくもない私の懐で、「ごめんね、ごめんね」と、狂った人と似通った泣き方をし、結果的には泣き疲れた赤ん坊の様に私の懐に居た儘寝てしまうのでした。
私は母が寝た後、全くと身動きを取れませんでした。
それは昔眠っていたはずの母が父の物音を聞き、まるで地震が起きた時と似通った(私が経験した地震は、実際は父が怒って床を叩いた時の振動だったのでした。)飛び起きかたをした、ということが何回も繰り返しあったという事を幼いながら覚えていたからなのです。
然し如何しても体をピクとも動かせぬのでは流石に何も出来ないので、らしくなくも何時か何処かで聴いたうろ覚えにも程がある様な、子守唄を霞んだ声で歌うのでした。
みなさんはじめまして、
ばななこっぺぱん と言います。
処女作なので優しい目で見て貰えば嬉しいです。
この作品は、現実の太宰治が書いた人間失格の語尾や書き方を少し参考にして作ったので、ぜひ楽しんでもらえれば良いなと思います。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!