そんな他愛のない会話をして 、お目当てのパンに手を伸ばした時だった___
目が合った瞬間 、身体中に電撃が走った 。
昨日の 、あの人 。
そう言って彼はクロワッサンから手を離し 、
目も合わせずに 、購買から離れていった 。
その出来事が 、なぜか胸の奥をじんと刺した 。
ほんの少しの会話なのに 、どうしてこんなに 、胸がざわつくんだろう 。
百合が茶化すのを必死に無視して 、私はお会計を済ませた 。
待ってる間にも 、彼の声を心の中で何度もリピートする
笑う百合の笑顔が眩しくて 、思わず目を逸らした 。
どうか 、あの人の名前を 、
まだ知らないままでいられますように 。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!