ー 若桜 蘭 ー
朝は
ずっと、怖かった
でも、
早すぎる時間が経つと共に
恐怖なんか無くなっていた。
何処かでキリがついたのだろう
気がつけば22時を回っていた
時計を見て改めて全員で実感する
もう2時間の命なんだ、と
6人でこたつに足を入れ
引っ付いて横に並ぶ
時間は進む
他愛もない会話
1年の振り返り、
思い出、
いちばん楽しかったこと
話せば話すほど年末だと実感する
階段を登り部屋に入る
お菓子を取りに行く、と言うのは嘘。
ドアを閉め、スマホを開く
ログは、1人1回のみ書ける。
俺はパソコンでログを書いた
だから本来はもう書けない
でもみんなは知らない
俺が、12月1日から1ヶ月間
スマホでもログが書けるよう
いろいろいじっていたことを。
つまりこの画面の白いページは
書くことはだいたい決まっていた
最後のログを書いた
そして嘘がバレぬように
あらかじめ用意していたお菓子を手に取り階段をおりる
なんとなく、リビングは静かだった
6人もいるのに、不思議だった
両親が小さな箱になって帰ってきた時も
他人が称えられた時も
「 ごめんね 」しか聞こえなかった日も
硝子が頬に刺さった時も
大好きだった人の思い出が消えた日も
みんなの笑顔が咲いた時も
夢と言う名の縄も
冷たい風が吹いた朝も
家という檻に閉じ込められた日も
愛で満ちた過去も
才能を殺した時も
全て捨てたくなって苦しみを叫んだ日も
独りじゃなかった夜も
暖かさに包まれた午後も
祝福を願った朝も
透明なコートを纏って逃げた雨の日も
着信音で気づいた涙も
腐れ縁を断ち切ってまで会いたかった人がいた朝も
全部全部全部
人生だ
6人で肩を組んで
円を作る
体育座りをする足がぎゅうぎゅうで狭い
気がつけば時間は経っていた
時計は見ないようにしていたけど
やっぱりそれは不可能だ。
不意に溢れた涙
何味かは分からない
年越しカウントダウンは
人生のカウントダウンになって。
最期くらい。
最期は
最強の6人で。
最期に見たのは
全員の笑顔
偽物でもない、
最強の6人の、笑顔 _ 。
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1 / 1 20:00 公開 .













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!