能力を上手く扱えるように少し目を瞑る 。
目を開くと右手にあったボールペンが
左手へと移動していた 。
よしっ !! 成功 !!!!!
私の自己紹介が終わった所で
目の前の人の目をチラリと見る 。
ルオ君が檻越しにそう聞いてきた 。
そう 。前回のミッション 。
フィンランドさんの救出 。
人が目の前で散っていくのに少しは慣れたと
油断していたら , 後ろでバンだもの 。
前世で平和な生活を送っていた私からすれば
発狂ものだろう 。よく耐えたと思う本当 。
「 実は転生者で毎日ぬくぬく (?) 過ごしてました 」
なんて言えるわけがない 。
研究所には居たらしいし事実だよ 。
事実すぎて事実陳列材ですねこれは 。
にこにことそう言うルオ君 。
下剤入れるとか言っても笑ってくれるの良い人すぎる 。
やっぱりそうですよね ,
時代は下剤じゃなくてルオ君を入れる …
呆れたような , 達観しているような目で檻を見て
ちょんと檻に指先を当てながらルオ君は話し続けた 。
指でバツマークを作って ,
念入りに「駄目」と言ってくる 。
こんな可愛い生き物存在してて良いんですか神様 。
顔を上げてルオ君の顔を見ると ,
目を軽く見開いて固まっていた 。
こんな良い人が溶けるんだから
それはもう寂しいどころの話じゃ無くないか … ???
そんな考え事をしていると
地下牢に誰かが降りてくる足音が響いた 。
淡々としており , 無機質な音だ 。
ドイツさんだろうか 。
じろり , と値踏みをするような目線で
此方へと顔を向けてくるフィンランドさん 。
フィンランドさんが鞄の中からゴソゴソと
何かを探した後手を差し出してきた 。
ん ? 握手 ……… ??
取り敢えず出された手を握り返した 。
なら何 … ??
ルオ君の方を向くとお腹を抑えて
少し震えながら必死に笑いを堪えていた 。
よく見れば差し出した手とは別の手で
本を握っている 。
完全に私の勘違いだ 。恥ずかしい 。
ピコンと可愛らしい音を立てて
私の通信機が反応した 。
画面を確認すると , 英さんから通知が来ていた 。
内容を簡単にまとめると
" 一緒に茶会をしないか " と言ったもの 。
折角のお誘いだし , ルオ君とフィンランドさんは
多分だけど兄弟っぽいし 。
家族との時間は必要だろう 。
後ろをちらりと振り向くと
フィンランドさんとルオ君が
軽く手を振っているのが見えた 。
2人に軽く手を振りかえし , 階段を登る 。
そんな可愛らしい会話が聞こえてきて
私の顔にも笑みが溢れた 。
そんな2人の言葉があの人達と少し重なる 。
貶して , 笑って , 終わってる言動ばかりだったけど
ほんのりと暖かかったあの人達 。
まあ暖かいと言っても冷めたカイロ程度だけど 。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。