朝の目覚ましが鳴る。
そんな物が鳴る前からとっくに起きていて、
寝不足で倒れた日から1週間が経った。
あれからまた学校に行けなくなった。
学校に行っている時も保健室でサボる事が増えて教室に入りずらくなった。
そんなの全部自分が悪い事くらい分かってる。
でも周りにどう思われているのか、周りの目が気になって授業すらまともに受けれない。
この1週間、学校を休んで分かったことがある。
それは市川先生が毎日電話をくれること。
大丈夫?ちゃんとご飯食べて寝ろよ?毎日こんな事言われて、親ならあまりいい気はしないけど市川先生に言われると少し気持ちが上がる。
他にも軽く世間話をしたりするけど、最後には必ず
明日、待ってるから。顔見せて。
そう言ってくれる。
それがつい嬉しくてニヤけちゃうのは自分でも引いてるけど。
わざわざ時間を取らせて迷惑なのは分かってる。でもこうやって心配してくれるのが嬉しくて、なのに学校に行って先生に会いたいけど周りが怖くて。
だから今日も学校を休んでしまう。
現在の時刻は6時57分。外はもう暗い。
いつもなら5時過ぎには電話が来るのに今日はかかってこない。
いよいよ呆れられたのか、忙しいのか、それとも小太郎なのか。
俺が学校に行かないから嫌われたのかな。それは嫌だけどもし今小太郎と居るとしたらもっと嫌だ。
そんな事を考えながらベッドの上でゴロゴロしていると家のインターホンがなる。
家には他に誰も居ないから仕方なく出る。
み)はーい、。
そう言って玄関を開けると
け)あ、やほ。椚。
み)え、?
まさか先生が来るなんて思っても居なかったから驚いた。
み)え!?先生何で居るん!?
け)ダメだった?笑心配だから来ちゃった。
み)ダメじゃないねんけど…迷惑かけたやん。
け)全然迷惑じゃねーけど。散歩しよ。上着着てきな。
み)ぇ、今から?別にええねんけど。
一旦部屋に戻り上着を取りに戻る。
今日は先生の声は聞けないのかと少し寂しい気持ちで居たから顔まで見れて凄く嬉しかった。
上着を着て走って先生の所まで戻るとポッケに手を突っ込んでスマホを弄ってた。
学校では見る事の出来ない私服であるロングコート。
月明かりに照らされて目に映る先生はとても綺麗で輝いて見えた。
あまりの美しさに見蕩れてしまうほどに。
け)ぁ、きた。何してんのそんな所で、早くこっち来な?笑
み)ぇ、あ。
け)今日寒いな。
み)そうですね。
け)家で何してた?
み)家で勉強してました、
け)w嘘だろ。嘘つくなw
み)バレちゃった笑
2人で人の居ない、所々にある街灯に照らされた薄暗い道を歩く。
み)どこまで行くん、?
け)んー、適当に。
み)ふーん…
け)全然学校来ないから心配だった。
み)ぇ?
け)でも今日顔見れたし、話せたから良かった。
真剣な表情でそう言われたのが嬉しくてニヤけてしまう顔が見えないように下を向く。
今日はずっと先生の事を考えてた。
今日も先生の声を聞きたくて、でも電話はかかって来なかったから寂しかった。でも今はこうして先生と2人きりで居れて嬉しい。
本当は先生の事、小太郎みたいに名前で呼びたい。
今は…手繋いで歩きたい。
そんなふうに先生に言いたくて、でも引かれたくないから、嫌われたくないから言えない。
さっきまでは嬉しかったのにそんな事を考えたら悲しくなって逆に顔を上げることが出来ない。
け)どした?ずっと下向いて。
み)ぁ、いや、なんでもなぃ。
け)嫌な事でも考えた?話せる事なら言って
み)嫌な事考えた…でも、嫌われたないから言わん…
け)…誰に嫌われたくないの?
み)先生…
け)あ、俺ね笑、多分大丈夫w
み)多分じゃ嫌や!
け)ww分かったわかった、話して?
み)うん…嫌わんでな、?…先生の事、名前で呼びたぃ…
け)笑そんなこと?別に良いけど笑2人の時だけな?
み)ホンマにいいん!?やった!
け)笑笑
先生にOK貰えたのが嬉しくて心臓の音が響いてる。
このまま手を握ったら怒らないで握り返してくれるんじゃないか。そんな風に思った。
だから調子に乗って少し前を歩く先生の指先を親指と人差し指で軽く握る
け)ん、どした?
み)…手ぇ、繋ぎたぃ…//
言って見たら思ったよりも恥ずかしくて絶対顔が赤くなってる。
どうせダメかなと思ったけど。
け)笑いいよ。てか顔赤すぎw嬉しいの?笑
み)ぅん…//嬉しぃ…//
け)w可愛いかよ、前は俺の事睨んでたのになw
そう言いながらでも手をちゃんと握り返してくれる。
でもこの繋ぎ方は嫌で手を離す。
け)今度はなに。
み)こっちがいぃ。
我儘を言って恋人繋ぎをする。なのに先生は笑って握り返してくれる。
み)…けいくん…明日も来て、?
け)ダメ。明日はお前が学校に来い。そしたらまた来てやる。
み)…いく。
流石に明日は来てくれないみたいだけど、俺が学校に行けばまた来てくれる。
こんな我儘を聞いて甘やかしてくれるのは、けいくんだけ。
け)みなと、見て。月が綺麗。
み)ホンマやな…
今日は満月で本当に綺麗だった。
けいくんから言われた、月が綺麗。って言葉がどうしてもそう言う意味に聞こえちゃう。
死んでもいいよ。
心の中ではそう呟いて。
でも口には出せないから代わりにけいくんの手を強く握る。
こんな幸せな時間が一生続けばいいのに。
けいくん、好きだよ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!