第33話

笑い声の向こう
217
2026/02/26 22:12 更新
ジェシーside
楽屋の空気は、だいたい騒がしい。

樹「負けたやつ罰ゲームな?」

北斗「また始まった」

髙地「まあいいじゃん、暇だし」

きょも「俺静観する」

慎太郎「俺今日運いいからね?絶対負けない」

ジェシー「それフラグな」

数分後。

樹「ビリ、慎太郎」

慎太郎「は!?嘘だろ!!」

ジェシー「罰ゲームは〜……くすぐりの刑!」

慎太郎「最悪!!!」

いつもの流れ。
末っ子が騒いで、俺らが笑う。

それが楽しい。

それが当たり前。
ソファに押さえられる慎太郎。

慎太郎「あははは!!ほんと無理!!」

高い声。赤い顔。暴れる手足。

樹「弱すぎだろ」

北斗「声でか」

きょも「酸欠なるぞ」

髙地「慎太郎〜?」

俺も笑ってた。

でも。

慎太郎「……もう、無理、」

一瞬だけ。

笑いが途切れた。

その“無理”は、ちょっと違った。
ジェシー「……ごめん」

手を止める。

慎太郎「平気だって」

平気な顔、してない。

長い時間一緒にいる。

SixTONESとして歩いてきた時間は伊達じゃない。

慎太郎が我慢するときの顔、知ってる。

慎太郎「皆が楽しそうならいいし」

胸が、ぎゅっとなった。

違う。

それ違う。
ジェシー「それ違うから」

楽屋が静まる。

慎太郎「え?」

ジェシー「お前が楽しくないなら意味ない」

樹「そうだな」

北斗「末っ子だからいじってるわけじゃない」

きょも「可愛いから」

髙地「大事だから」

慎太郎、視線を落とす。

ジェシー「好きだからだよ」

空気が止まる。

慎太郎「急に重いって……」

ジェシー「重くていい」
一歩近づく。

ジェシー「お前、自分後回しにすんな」

慎太郎「してねぇし」

ジェシー「してる」

即答。

樹「俺らにくらい甘えろ」

北斗「頼られたい」

きょも「無理して笑わなくていい」

髙地、頭を撫でる。

髙地「守らせろよ」

慎太郎の目が揺れる。

慎太郎「……なんでそこまで」

ジェシー「俺が守りたいから」
静寂。

その目が少し潤む。

慎太郎「泣かねぇ」

ジェシー「泣いてもいい」

慎太郎「うるせぇ」

でもその声は、もう強がりじゃなかった。
昔。

デビュー前。

レッスン終わりに一人残ってた慎太郎。

誰より声出して、誰より笑ってたくせに。

ジェシー「何してんの?」

慎太郎「別に」

膝、擦りむいてた。

痛いのに笑ってた。

「皆の足引っ張りたくない」

あのときから、変わってない。

だから。

今度は俺らの番だ。
帰り道。

珍しく静かな慎太郎。

ジェシー「まだ考えてる?」

慎太郎「……別に」

横顔が、少しだけ弱い。

ジェシー「今日言ったの本気だから」

慎太郎「……分かってる」

ジェシー「お前いないとSixTONESじゃない」

足が止まる。

慎太郎「……それは大袈裟」

ジェシー「本気」

風が吹く。

慎太郎、俯く。
慎太郎「……俺さ」

小さい声。

慎太郎「守られるの、慣れてない」

胸が、また締め付けられる。

ジェシー「じゃあ慣れろ」

慎太郎「は?」

ジェシー「俺らいるんだから」

少しの沈黙。

慎太郎「……ありがと」

今日一番素直な声。
森本side
布団の中。

今日の言葉がぐるぐるする。

“好きだから”

“守りたい”

重い。恥ずい。

でも。

嬉しい。

皆の前で強がるの、癖になってた。

でも。

守られるのも、悪くないかも。

慎太郎「……SixTONESだなぁ」

小さく笑う。

目を閉じる。
今日は少しだけ、安心して眠れそうだった。
楽屋。

樹「慎太郎、今日顔柔らかくね?」

北斗「昨日の効果?」

きょも「単純」

髙地「可愛い」

慎太郎「うるせぇ!」

ジェシー、隣で笑う。

ちゃんと笑ってる。

無理してない笑い。

それだけで、十分だった。

俺らはきっと、

ふざけて、いじって、笑って、

でも本気で守る。
それが

SixTONES。

笑い声の向こう側には、

ちゃんと、愛がある。

プリ小説オーディオドラマ