第12話

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2026/01/08 05:55 更新
sideリオ
夕方の風が少し冷たくて、
校舎裏は、昼間の騒がしさが嘘みたいに静かだった。
ジュノン
ジュノン
…リオ
後ろから名前を呼ばれて、肩がびくっと跳ねる。
振り返らなくても、誰の声かは分かっていた。
リオ
リオ
……何ですか、ジュノン先輩
なるべく、平気な声を作った。
泣いてたことも、全部見られてないふりをして。
ジュノン
ジュノン
少し、話せる?
返事をしない私の横に、先輩はゆっくり並んで立つ。
無理に距離を詰めてこない、その態度が逆に苦しい。
ジュノン
ジュノン
……あのさ
少し間を置いて、ジュノン先輩が口を開いた。
ジュノン
ジュノン
俺、最低だった
その一言に、胸がぎゅっと締まる。
ジュノン
ジュノン
リオの気持ち分かってたのに
ジュノン
ジュノン
優しくされて、誘ってもらって、嬉しかったくせに――
 ちゃんと向き合わなかった
夕焼けに染まった横顔は、
いつもの余裕のある先輩じゃなかった。
ジュノン
ジュノン
…ごめん
その言葉を聞いた瞬間、
ずっと張りつめていた何かが、少しだけ緩んだ。
リオ
リオ
……先輩、ずるいです
声が震える。
リオ
リオ
好きにさせといて、
 期待させといて、
 それで……あなたの下の名前、なんですよね
ジュノン先輩は、否定しなかった。
その代わり、苦しそうに目を伏せる。
ジュノン
ジュノン
…うん
たったそれだけ。
でも、嘘じゃないって分かる。
ジュノン
ジュノン
でもさ、リオ
先輩は、はっきりした声で続けた。
ジュノン
ジュノン
リオの気持ちを軽く考えたことは、一度もない。
 それだけは、本当だ
リオ
リオ
……だったら
ぎゅっと拳を握る。
リオ
リオ
だったら、ちゃんと振ってくださいよ。
 優しいまま、曖昧なままなのが一番つらいんです
少し沈黙が流れる。
そのあと、ジュノン先輩は小さく笑った。
ジュノン
ジュノン
強いな、リオ
リオ
リオ
強くなんかないです
ジュノン
ジュノン
それでも、ちゃんと前を向こうとしてる
先輩は一歩だけ距離を取って、
まっすぐ私を見る。
ジュノン
ジュノン
俺は、リオの気持ちに応えられない。
 それは変わらない
胸が、ちくっと痛む。
でも、目は逸らさなかった。
ジュノン
ジュノン
…でも
リオ
リオ
でも?
ジュノン
ジュノン
それでも、リオを傷つけたままにするのは嫌だ。
 友達としてでも、後輩としてでもいい。
 もう一回、ちゃんと話せる関係に戻りたい
ずるい。

でも、逃げてない。
しばらく黙ってから、私は小さく息を吐いた。
リオ
リオ
…時間ください
ジュノン
ジュノン
うん
リオ
リオ
でも
顔を上げて言う。
リオ
リオ
先輩の事嫌いにはならないと思います
ジュノン先輩は少し驚いた後、
困ったように笑った
ジュノン
ジュノン
それは……ごめん
リオ
リオ
謝らないでください
私も、少しだけ笑う。
リオ
リオ
ちゃんと、好きになっただけなので
夕焼けの中、
二人の間にあった重たい空気が、
ほんの少しだけ和らいだ。
完全な仲直りじゃない。
でも――
壊れたままじゃない。
リオとジュノンは、
それぞれの痛みを抱えたまま、
一歩だけ前に進んだ。
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