志村姉弟とケーキを食べ始めてしばらく。
世間話やら雑談やらをした後に新八君が時計を見てこう言った。
お妙さんの手料理は全てダークマターだから……
口が裂けても本人には言えないが。
新八君は万事屋へ。
私は屯所へ向かうが、途中まで道が同じな為、
自然と新八君と並んで歩く。
いいな、そうやって熱中できる人が居て。
アイドルとファン。
新八君には悪いけど、叶う事は無い。
それでも諦めずに好きで居続けている新八君は尊敬できる。
出来る事ならば、
私だって沖田のことを一生好きで居たい。
でもよく見ると、
誰かが二階にある万事屋の扉の前で何やら話している。
話している二人は銀さんと沖田だった。
銀さんはニヤニヤしてるし沖田はちょっと焦ってる様にも見える。
何?BL?((
肝心な場所が聞き取れなかった。
なんて言ったの?
沖田をよく見ると顔が赤いような気がする。
何か言われて恥ずかしい事……
あーやだな。
何でこんなタイムリーなの?
嫌だ。
やめて……
聞きたく無い。
それじゃあ………
もう、私…………
もう………
聞きたく無かった。
言って欲しく無かった。
もう噛ませ犬確定だから
言葉にしないで欲しかった。
自分の心に留めたままで居て欲しかった。
具現化すれば傷付く人がいる事を知って欲しかった。
貴方の一番が欲しかった………
叶わない事を知っていた。
貴方があの子が好きなのも知っていた。
一番に慣れない事なんぞ、
とうの昔に知っていた。
諦めた筈だった。
この想いは墓場まで持っていって隠し通すつもりだった。
なのに
なんで
涼しくなり寒くなってきた十月の真ん中。
行き交う人々の中
下を向いて立ち止まった。
冷たいアスファルトに雫が落ちて
直ぐに乾燥して蒸発して
跡形も無く消え去った。
続












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。